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9872話 世界一のサイコスター。


 9872話 世界一のサイコスター。


「1000億年頑張って……それでも……ダメだった……それでも……当たり前のように……」


 奥歯を食いしばって、

 ぶっ壊れそうな命を背負い直して、


「1001億年目をめざしてあがく……この覚悟だけは……1000兆年になろうが……1000不可思議年になろうが変わらねぇ……」


 センエースの覚悟を前にして、

 『ラスボス』は、さすがに顔を青くする。

 この時点では、まだまだ、『ラスボス』の方がはるかに強い。

 なのに、

 『ラスボス』は震えた。

 恐怖で頭がおかしくなりそうになる。



 ――センエースは、叫ぶ。



「……俺より強いと言う程度でイキっているようなゴミがぁ! 俺に勝てると思うなぁあああ! お前程度のハンパなサイコパスが、世界一のサイコスターである俺に勝てる道理なんざねぇんだよぉお!」



 獣の咆哮。

 人としてのの理性が残っているのか疑わしくなる目だった。

 長い長い旅の中で、多くを積み重ねてきたが、

 積み重ねてきた分だけ失ったものもある。

 こぼれおちたもの、壊れてしまったもの、狂ってしまったもの。


 その全てを、今一度、あらためて、かきあつめて、

 そして、






「――ヒーロー見参!!!」






 伊達じゃない覚悟を叫ぶ。

 何度でも、何度でも、何度でも、決死の想いを叫び続ける。


 数えきれないほど『それでも!』と、

 世界に対する反逆の意志を示し続ける


 『すべての命』が『救済の祈り』をささげる『最後の砦』としての役割を全うしようと――

 ――いや、ぶっちゃけた話、そんな高尚な意図は、さほどない。

 もちろん、責任感が強い男なので、ゼロではないが、

 彼にとって、本当に大事なことはそこじゃない。


 もっと、もっと、根源的なもの。

 強さに対する貪欲さ、その狂気――

 ――いや、それだって、表面的な話に過ぎない。


 複雑で奇怪な感情論。

 単一の想いだけで生きている者など存在しない。

 バラバラの『ぐちゃぐちゃになった心』を雑にかき集めて、

 バカみたいに、無様に、マヌケに、必死になって叫び続けるだけ。


 ――そうすることで、少しだけ楽になれるから。

 そんだけ。




 ――センエースは、アイテムボックスから、

 秘密の部屋で手に入れた『チートアイテム』を取り出して、天に掲げる。


 一瞬だけ、逡巡。

 このまま殺された方が楽なんじゃね?

 と、自分の中の弱い部分がささやく。


 ――そんな、ほんのわずかに芽生えた『己の弱さ』に対して、センは、


「俺が死んだら全部消える。それはイヤだ。だから、死んでろ、俺の弱さ。お前はいらねぇ。真の最強になった俺が、最悪に最強の敵をぶっ倒してトゥルーエンド! それ以外の結末は全部ゴミぃいい!」


 ワガママを叫んでブチ殺す。

 根性と貪欲さだけで『葛藤』すら殺す。


 そうやって、これまで生きてきた。

 だから、これからも、そうやって生きていく。


「むちゃくちゃ苦しい! 正直かんべんしてほしい! もういやだ! けど! それでも! それでもぉおおおおお!」


 幾億の『それでも』を積み重ねて、

 そして、



「――俺はまだ、頑張れるぅうう!!!」



 叫びに呼応して、天に掲げられた『銀の鍵』がまたたく。

 無慈悲に、厳酷に、残忍に、非道に、

 けれど、少しだけ、暖かく、

 センエースを、

 『セーブポイント』へと連れ戻す。


 『銀の鍵』は、記憶と経験を維持したまま、

 既定の日まで時間を戻してくれる超便利アイテムだが、

 『EX-GODレベル』は維持してくれない。

 ――せっかく、『500兆』まで上げたEX-GODレベルが、

 また『1』まで戻ってしまう。


 けれど、別にいい。

 また、すぐに上げてやる。

 『EX-GODレベルを500兆まで上げた経験』はなくならない。


 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、

 『1に戻ったEX-GODレベルを爆速で上げまくってきた経験』は、

 センエースの器に、シッカリと刻み込まれている。


 だから舞える。

 前よりももっと優雅に美しく。


 『またラスボスと再戦するまでに、より速く、より強く、鍛え上げてやる』――と、

 強く意気込んで、

 センエースは、またレベル上げの作業へと入る。



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