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1話 センエースの高み。


 1話 センエースの高み。


 蝉原の脅威を、どうにかこうにか、のりこえて以降、

 ザンクの『修行に対する意識』は大きく変わった。


 これまで、センたちとの特別な鍛錬において、ザンクは、神闘というものを『より深く理解すること』と『理解した上で裏をかくこと』を念頭において勉強してきた。


 『うまいこと利用するため』、

 『トウシを出し抜くための一貫のため』、

 『世界を自由に翻弄するため』、

 そういう、いわば、『不純』で『偏屈な視点』で、

 神闘と向き合ってきた。


 しかし、今は違う。

 ザンクは、極端なほど、まっすぐに、武と向き合っている。


(武の鍛錬を必死に積むとか、そんなもん、まったく性に合わんけど……もう、そんなことは言うてられへん……)


 性根を根こそぎ入れ替えて、心身を完璧に鍛えなおそうと必死になって、センの修行についていく。


(力とは、ぞうしょうにするため、技とは、りゅうとするため。では、心とは、何を何にするため?)


 神闘がどうこうもそうだが、

 『武』に対しての心構えが完全に変わった。

 その結果、ザンクは、いくつかの、武の真理を目の当たりにする。


 答えはまだ見えていない。

 その答えに辿り着くためには、まだまだ時間がかかる。


 しかし、ザンクは、魂を込めて鍛錬をした結果、

 今までのメンタルでは、絶対に、永遠に届かなかった、

 『答えが隠されている扉』の前までは、たどり着くことができた。


(……ここは、まだ道の途中……おそらく、命は、永遠に完成せん……その極致に……あいつは……センエースは……たどりついとる。……なんでや? なんで、そんなにも高いところから世界を睥睨へいげいすることができる? ザンクさんとお前の違いは一体なんや? 何がどう違う? 何をどうチューニングしたら、そこからの風景を見ることができる?)


 まっすぐな目で、センとの鍛錬をつづけてみた結果、

 ザンクは、ようやく、真に、センの高みを知る。


(センエース……お前は、確かに、間違いなく……テラスの異次元同一体やな……)


 『男女』と言う性差こそあるが、それ以外に違いはないように思えた。

 武に対する向き合い方。

 魂の清廉具合。


 議論を交わしたことはほぼないに等しいので、

 基本的なコミュニケーション上における性格の具合は不明だが、

 武による高次の対話はずっと続けてきたため、

 センエースがどういう男であるか、肌で感じることができた。


(……お前は間違いなくテラスの異次元同一体やけど……センテラスとは、全く別の生き物や……)


 二人の『閃』に触れたことで、

 ザンクは、極めて高い次元の『真理』を会得する。


(正直、お前に対しては、何の感情もない……いや、なんもないことはないんやけど……今のザンクさんは、『テラスに向けとる感情』で一杯一杯で、テラス以外に向ける感情は、どんなもんであれ、とにかく薄い……というわけで、ザンクさんは、お前を、とことん利用することに決めた。その結果、お前が死ぬことになったとしても、ザンクさんはまったくいとわず、テラスを救うためのコマとして、お前を利用する……)


 ザンクにとって大事なモノはセンテラスだけ。

 テラスの異次元同一体でしかないセンエースのことは、

 正直いって、どうでもいい。


 どうなろうと知ったこっちゃない。

 もし、センテラスを救うために、センエースを殺す必要があるとしたら、ザンクは、秒の迷いすらなく、即座にセンエースを殺して、センテラスを救い出すだろう。


(――蝉原を確実に殺し、テラスを完全に奪い返すためには……『センエース』の力だけでは厳しい気がする……もっと、もっと、多角的に、貪欲に求めんと、話にならん……)



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