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38話 また1億年の旅に出るセン。


 38話 また1億年の旅に出るセン。


「この上なく尊き超人、世界を救うヒーローである主上様のお世話係が出来ることは、私にとって、何よりの幸福でございます」

「いや、俺は尊くはねぇんだよ。2億年、バカみたいに修行したってだけだから。誰だって同じことをすれば、俺と同じ場所まで来られるから」

「誰もあなた様と同じことはできません。ソウルゲートで6万年を過ごした私だからこそ、断言できます。私は、ソウルゲートを耐え抜いた時、自分のことを世界で一番根性のある女だと思いました。そして、それは事実でしょう。私は間違いなく最高スペックの根性を持った女です。けれど、あなた様と同じことは絶対にできない。この、たった一つの事実をとっても、あなた様が、間違いなく、この世で最も尊き王であることが分かります。あなた様は、この世の頂点にたつべき神」

「ぐだぐだとうるせぇな。言っておくが、俺は、王にも神にもなりたくねぇんだよ。なぜなら、メンドくさそうだから。俺は基本的に孤高と静寂と自立心を愛している。というわけで、アダムさん、俺にメシを食べさせようとするの、マジでやめてくれる? 俺には育児も介護も必要ねぇんだわ。メシぐらい自分で食えるんだわぁ。てか、自分のタイミングで食いたいんだわぁ」

「人の上にたつ者は、身の回りの世話を従者にさせるものです、主上様」


 などと、徹底的にセンを崇拝するアダムと、


「セン、迷宮探索で死ぬほど疲れて足が棒みたいでちゅ。クッションの役目を果たしつつ、マッサージもしてくだちゃい」

「難しいこと言ってんじゃねぇ。てか、鬼畜か、お前。同じように迷宮を探索した上、1億年修行して、ニーと激闘した俺の方が、絶対に疲労度は上だろうが」

「ちょっと、ちょっと、『オイちゃんの足を触れる権利』を得たからって、そんな、ニタニタ顔しないでくだちゃいよ。うわ、ヨダレまで垂れているじゃないでちゅか、ドスケベでちゅねぇ」

「お前のエキセントリックさに、心が疲弊している俺の『途方もない呆れ顔』が目に入らぬか? 『1億年の修行』に匹敵するぐらい、『お前の対応』は『疲れる』という現実を、どうか直視してくれんかね」


 徹底的にセンをけなしてくるシューリ。


 あまりにも方向性が違いすぎる二人の美女との共同生活。

 心はどんどん疲弊するが、しかし、


(この生活に幸福みたいなものを感じてしまう俺はド変態なのだろうか……?)


 などと、自問自答するセン。


 今、センは、二人の美女に振り回されているわけだが、

 その状況に対して、心底では、

 『望んでいたものを手に入れた』という感覚に陥っていた。






 ★






 翌日の昼間、

 アダムは気づいた。


 ――三人で食事をしている時、

 突然、センの雰囲気とオーラが、一段階、深くなったのである。


 研ぎ澄まされたオーラを放ちつつも、

 『疲労で顔が曇っているセン』の姿を見て、

 アダムは、


「主上様……もしかして、また1億年、修行してきたのですか?」


 そう問いかけると、

 センは、一度、深呼吸を挟んでから、

 ニっと『快活に見える笑顔』を浮かべて、


「……ああ。また、100倍強くなったぜ。もう、『1兆の敵』は余裕だな。たぶん、ワンパンでいける。ほんと、余裕、余裕。1億年修行するってのにも、だいぶ慣れた。なんか、もう、寝て起きたら終わっているって感じだ」


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― 新着の感想 ―
疲弊しつつも、 どこか幸福を感じているセンの様子に笑ってしまいました!
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