15話 神のまにまに。
15話 神のまにまに。
――『劣等感を下地にして積み重ねてきた土台』の上にだけ咲く花。
惨めで、無様で、みっともなくて、けれど、その割に、とても美しい大輪。
「プライマルゥウ! プラチナァァアア! スペシャルゥウウ!」
自力で、強制的に、建設的に、
覚醒の階段を駆け上がっていくザンク。
たどり着いたのは、
「ザンクさんがたどり着いたのは、プライマル・プラチナスペシャル『天照大鏡』。センテラスの完璧な女神性を前面に押し出した最強のスペシャル。効果は、単純! 相手は死ぬぅううう!」
「ははは、すごいスペシャルだねぇ」
「小バカに出来るのも今のうちや! 天照大鏡のホンマの効果は、相手の能力を、センテラスカスタムを施した上でコピーする!」
「センテラスカスタム? それは、どういうものかな?」
『暴露を積ませる』のと『情報を得る』のと、
どっちを優先させるか、その辺の塩梅が、
蛇同士での闘いでは、非常に重要になってくる。
その辺の、全体的な『さじ加減』が、蝉原は、非常に巧みだった。
誰の事も信じていない『狡猾』で『邪悪』な蛇だからこその極致。
戦闘思考力と合わさって、蝉原を、実力以上の化け物に仕上げる。
――蝉原は、非常に出来のいい蛇。
だが、ザンクも、蛇としてのスペックは、爆裂に高い。
互いのシッポを喰い合う姿は、まさにウロボロス。
「センテラスが有する『三種の神器』――『絶対的精神的支柱』『不屈の魂魄』『病的な高潔』による『真の恩恵の一部』が顕現する!」
その発言を受けたことで、
蝉原の顔が、ピシっと固まった。
それまでの余裕の声ではなく、
「へぇ……それは……すごいねぇ」
『本物のウザさ』を感じ取っている声音。
「……『恩恵の一部』にとどまってくれて、ほんとうに助かったよ。もし、『すべての恩恵』が顕現していた場合、俺ごときでは、泡を吹いて倒れるしかなかったからね……ふふ」
顔に、軽く冷や汗を浮かばせながら、そんなことをつぶやく蝉原。
ザンクは、さらに、『暴露のアリア・ギアス』を積んでいく。
「――『常時、全能力向上』、『ピンチになるほど全能力向上』、『相手の攻撃をたまに無効化(情動の総量に応じて、無効化する可能性増加)』、『運命力の爆発的増加』、『疑似無限蘇生の一時的開眼』、『全装備品の極悪メンヘラ化(装備者への愛爆増)』――他にも、無数の凶悪効果が発動!」
「ははは。『一部』で、ソレか……すべての力が解放された時、いったい、どれだけの爆発力になるのか、想像するだけでも恐ろしい」
まだ余裕を見せる蝉原にイラっとしたザンクは、
「永遠に笑えんようにしたるから、覚悟せぇよ、カスゥ」
オーラを増幅させる。
凶悪に膨れ上がる。
コピーした蝉原の力だけでも膨大なのに、
そこに、センテラスの可能性というブーストが追加され、
爆発的な力が加速していく。
「いくぞ、蝉原ぁあああ! 死ねぇええええええっ!!」
愚直な突撃。
アホの一手。
しかし、突き詰めれば、結局、それが最強。
対処のしようがない、小細工なしの、まっすぐな暴力。
異次元に達したザンクの拳が、
蝉原の顔面を的確にとらえる。