6話 逆ナンするセンキー。
6話 逆ナンするセンキー。
「よし、ザンク、あとはよろしく。エレガント、かつ、セクシーかつ、ワクワクするような策を希望」
(――まかせぇ。すでに、未来は描いた)
「え、ほんとに? 私、神の力を奪われて、ゴミカスみたいな存在値になってんだけど? そのへん、ちゃんと理解してる?」
(奪われたのは、一部にすぎない。お前の可能性は、あんなカスに奪いきれるほど軽くない。仮に、お前の全部を奪ったりしたら、あそこにいる悪人面は、抱えきれずに破裂する)
「ヤ〇ンがスーパーサ〇ヤ人の気を吸って爆発する的な?」
(……ま、まあ、うん)
と、テラスの発言を軽くスルーしてから、
ザンクは、
(お前の可能性と、ソンキーの可能性がエグすぎて、想像以上の未来に行けそうや)
ザンクは、描いた未来をたぐりよせようと、
コスモゾーンの禁域にアクセスしていく。
より深く、より遠く。
――そうやって切り開いていった先に、
ザンクは、
(……アカンな……でっかい壁が邪魔しとる……)
弱音を吐いた彼に、
テラスが、
(突破できそうにないの?)
(ぃ、いや、ザンクさんなら、無理やない。けど、時間がかかる)
その返事を聞いたテラスは、ニっと笑って、
(オッケェ。じゃあ、時間を稼ぐ。正直、今の私は、そんなに強くないけれど……まあ、時間稼ぎぐらいなら出来なくも……ないんじゃないか、ね、ソンキー)
(相手が遊んでくれれば、可能性はあるが――)
(じゃあ、遊ぶように仕組めばいい。……簡単な話)
と、心の中の会議を終えると、
『センキー(ザンク付き)』は、
蝉原に視線を向けて、
「そこのワイルドでカッコイイお姉さん、ちょっとお茶しない? きゃは♪」
と、しなをつくりつつ、満面の笑顔で誘いの言葉を投げかけるセンキーに、
蝉原は、
「……非常に嬉しいお誘いだね。逆ナンは、これまで、何度か受けてきたが、これほどまで心躍る誘いは初めてだ」
そう言いながら、『先ほどからずっと溜めていたオーラ』を、全身に充満させていく。
「君と一緒に遊ぶなら、お茶よりもダンスを希望する」
そう言いながら、
蝉原は、空間に溶け込んだ。
豪速で接近されていると波動で感じ取ったセンキーは、
「ぐぉつ!」
神速の反射だけで、どうにか、体をひねる。
死角から飛び込んできた攻撃をギリギリのところで回避して、
「この私の、最初で最後の逆ナンを軽くあしらうとは……今のは傷ついた……傷ついたぞぉおお!」
軽やかなテンプレを叫びながら、
どうにか、蝉原に一撃を叩き込もうと体を動かすが、
「……随分と身体が硬いね、センくん。もっと、ストレッチをしないと」
などと、にやにや笑いながら、
サクっと、センキーの攻撃を回避して、
「殺神蛇拳」
腕全体をしならせながら、
高速のジャブを放ってきた蝉原。
回避はできない。
両腕でガードする。
衝撃は大したことなかったが、
「うげっ……」
一瞬、頭がクラっとした。
長時間のデバフ効果ではなかった。
一瞬で、そのフラつきは回復したが、
「俺の殺神蛇拳は、当たると、一瞬だけスタンが発生するデバフジャブ。ダメージを極限まで抑えるカスタムをほどこしたことで、相手がどれだけスタン耐性が高くても、そこそこデバフが通る。発生フレームが短く、コストも低い。崩し技としては、非常に高性能。この暴露を積んだことで、さらに、スタンの時間が長くなる」




