5話 融合闘神『センキー(ザンク付き)』になれば、可能性が見える。
5話 融合闘神『センキー(ザンク付き)』になれば、可能性が見える。
すべての限界を屈服させて、いと高く、彷徨う冒涜。
「……センテラス。俺を使え」
高みに至ったソンキーは、迷いなく、テラスに、手を差し伸べた。
『そうしたい』から手を差し伸べている、というワケではない。
というか、本音を言えば、テラスに力を貸したくなどない。
『こんなド変態のパーツになど、なりたくはない。できれば、自分の力だけで、すべての困難を打破したい』
――それが、ソンキーの本音。
『元最強の闘神』としてのプライド。
しかし、そんな、お行儀がいいだけのワガママなど、
『無様に敗北する惨めさ』の前では、燃えない生ゴミにすぎない。
『息をしていない欲求』から目を背けて、
ソンキーは、
「……はなはだ不本意ではあるが、センテラスとソンキーが合体した融合闘神『センキー(ザンク付き)』になれば、可能性はある」
そんなソンキーの呼びかけに対し、
テラスは、
「貴様と合体など二度とごめんだ」
「……お前は本当に王子ネタが好きだな……」
呆れるソンキーの視線の先で、
テラスは、
「……嫌だけど……まあ、今のところ、それしか可能性はないか……嫌だけど……ほんとイヤだけど」
「何度も言うな、鬱陶しい。出来る事なら、俺も、お前と合体などしたくないんだ」
そう言いながら、ソンキーは、テラスの胸部に手をあてる。
その行動に対し、テラスは、無表情のまま、
「きゃー、えっちぃ(棒)」
「殺すぞ、ド変態」
などと、無意味な言葉をかわしあってから、
ソンキーと、テラスは、心を合わせて、
「「ミラブルース・アマルガメーション」」
その宣言の直後、ソンキーの肉体は、粒子化して、テラスの中へと注がれていく。
一瞬だけ、強い発光があった。
厳かな光にも見えるが、
ただの歪んだ輝きにも見える。
ヤンキーではないが、優等生でもない……そんなアクの強い瞬き。
――合体が完了した時、
そこには、『万全のセンテラス』や『ソンキー単騎』よりも『明らかに弱い神』がいた。
「よっしゃぁ」
と、様式美で、一度よろこんでから、
「センテラスとソンキーが合体して、センキーってとこかな」
元気よくテンプレを口にしたものの、
「……ん、んー……」
センキーは、自分の肉体に起こった変化を、しっかりと、確かめてから、
「やっぱり……ものごっつ弱くなっているんだけど……ミラブルース化させた、アマルガメーションを使ったのに……」
と、『テラスの部分』がそう呟くと、
『中』にいる『ソンキーの部分』が、
(当たり前だ。まだ、『最適化』もしていないのだから。『神の力を奪われたお前』と合体したばかりでは、単純に、俺の力を2で割っただけ)
「……それで、こっからどうするって?」
(あとは、ザンクさんに丸投げする。ザンクさんなら、どうにかしてくれるだろう)
「よし、ザンクさん、あとはよろしく。エレガント、かつ、セクシーかつ、ワクワクするような策を希望」
テラスから期待をよせられたザンクは、ニっと笑って、
(――まかせぇ。すでに、未来は描いた)
「え、ほんとに? 私、神の力を奪われて、ゴミカスみたいな存在値になってんだけど? そのへん、ちゃんと理解してる?」