126話 修正箇所が多すぎてハゲそう。
126話 修正箇所が多すぎてハゲそう。
「正義の味方である君は、俺が罪なきゴミを殺害することが許容できず、新たな力を覚醒させて、ゴミを守る……そういうシナリオになる、と俺は予想しているんだけど、どうかな? 『慈愛に溢れた君の高潔な魂が、あそこにいるゴミを守らずにはいられず、新たな領域に足を踏み入れる』という、そんな尊い未来は訪れそうかい?」
「……あんたの今のセリフ、修正箇所が多すぎてハゲそうなんだけど」
「ほう。どこに間違いがあったのかな? 教えてもらえると嬉しいね」
「まず、私は正義の味方なんかじゃない。そんなダルすぎるポジションは絶対にゴメンこうむる」
「その気持ちは非常によく分かるのだけれど、君の言動を見ている限り、正義の味方以外の何者でもないと思うのだけれど?」
「あんたの俯瞰なんか知るか。じゃあ、こう言ってやる。蝉原勇吾。あんたって、本当に、超、正義の味方すぎて、ウケんだけど。あんたがどう思うかは知らんけど、あんたの言動を見ている限り、私はそう思う。きゃは♪」
「……ふふ、なるほど。不快だね。そんなふざけたレッテルを張られたくはない」
「あと、あそこにいる性格の悪そうな男を、慈愛どうこうで守ろうと思ったことなんか一度もない」
「さっきから、ずっと、君は、彼を守っているように思うけど?」
「あんた程度を殺すぐらいは、お荷物を背負ったままでも楽勝だから。……あんた程度の雑魚を相手に、ハンデの一つも背負わないなんて、私のプライドが許さない。メジャーリーガーが、リトルリーグ相手に本気を出していたら頭おかしいでしょ?」
そこで、蝉原は、ザンクに視線を向けて、
「だそうだけれど? どうだい? ここらで、守られている側の意見も聞きたいところ。そこのゴミカスくん、君の感想を、どうか聞かせてくれよ」
そんな、ふざけたことを言われたザンクは、
「……ま、まあ、お前からすれば、ザンクさんごときは、ほんまにゴミやろうな」
と、正確な理解を並べてから、
「感想を言う前に、ザンクさんも、質問したいんやけど、ええかな?」
「俺に? それとも、彼女に?」
「あんたにも聞きたいことはなくないけど、一応、今は、センテラスに聞きたいことがある」
「だ、そうだけれど、どうする、閃くん。あんな、『どこの馬の骨とも分からないゴミなんかとは話したくない』――というのなら、俺の方で処理しておくけれど? なぁに、礼はいらない。たかってくるハエを払うだけの話さ」
ニタニタ笑いながら、そんなことを言う蝉原に、
テラスは、
「……もう、言いたいことがありすぎて、頭がハゲるどころが爆発しそうなんだけど。なんで、あんたが、ナンパ男を追い払う彼氏みたいなことを言ってんのか意味不明だし、ハエがたかってきているってことは、私、ウンコ扱いされているし……おしゃべりの高低差がありすぎて、耳キーンなるんだけど」
軽くため息をついてから、
ザンクに目線を向けて、
「この極限状態で冷静に質問とか、興味あるから、逆に聞きたい。私に何が聞きたいって?」