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123話 『最後の砦』としての適正。


 123話 『最後の砦』としての適正。


 蝉原は、両手をテラスに向けて、極悪な照射を放った。

 次元の違う一手。

 彼我の差を考えれば、どうあがいても消失するしかないこの一手に対し、

 テラスは、今の彼女に出来る『最善』を使う。

 オメガバスティオンを使い、蝉原の波長に、同系統の波長を合わせて、完全に消失させる。


 サクっと異次元砲を消された蝉原は、


「……すごいねぇ。そのチート技は、相当難しい曲芸なのに、顔色一つ変えずにやってみせるとは」


「ご覧の通り、あんたの攻撃は永遠に届かない。というわけで、降参してくれる? そして、速やかに自殺して。それが私と世界のためだから。ご理解OK?」


「くく」


 と、蝉原は、一度微笑んでから、


「異次元同一体の中でも、オメガバスティオンに対する適正はバラバラでね。一応、閃くんならば、みんな、使えるんだけど、『オメガバスティオンを簡単に使える個体』と『そうじゃない個体』が入り混じっている。そして、どうやら君は、かなり上手にオメガバスティオンを使える個体らしい」


「……まさか、それを試すために異次元砲を使ったとか言わないよね?」


「ん? もちろん、確かめるために使ったんだよ。閃くんがオメガバスティオンを使えるということは当然知っているからね。本気で殺すつもりなら、カンファレンスコールの絨毯爆撃で圧殺するよ。死のスコールで、気力を根こそぎ奪い取り、確実に殺す。――少なくとも、一点集中型の異次元砲は使わない。俺はバカじゃないんでね」


「私が知る限り、あんた以上の馬鹿はそうそういない」


「……ははは。良い感じに時間を稼ぐねぇ。そうやって、言葉を巧みに使って、興味をひかせながら、頭の中では『考えろ、考えろ』って、必死になって、この状況を打破する方法を見つけようともがいているんだろう?」


「……」


「君はいつだってそうだ。どんな状況になろうと決してあきらめない。……諦めないというだけなら、たまに出来る者がいるが、君の場合、『最後には必ず、なんとかしてみせる』という破格のウルトラCを決めてしまう。それが君のもっとも怖いところだ。君は本当に異質。君だけは、いつだって特別」


 そう言いながら、

 蝉原は、両手を天に向けて、


「イビルノイズ・アンリミテッド・カンファレンスコール」


 大量の黒い玉を出現させる。


 黒い玉の大きさは、BB弾サイズだが、

 その一つ一つに、膨大なエネルギーが込められている。


「本気で殺しにいくけど、君は、どうせ防いでしまうだろう。わかっている。俺は君に詳しいからね。なんせ、俺は、君の恋人でありファンだから」


「嬉しいねぇ。こんなに塩対応しかしていないのに、ファンを続けてくれるなんて。今度、握手会にきてくれた時は、タンを吐きかけるから、よろしくね。あんたの業界ではご褒美でしょ? きゃぴっ」


「世界一かわいいねぇ、惚れてしまいそうだ」


「……ノるのヤメてくれる? キショすぎて死ぬ」


「くく……君は本当に気難しい女だね」




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