112話 究極超神化6は……
112話 究極超神化6は……
「スタイルは5種。『スピリットプラチナ・フォルテシモ』。『スノープラチナ・メトロクロック』。『ゼットプラチナ・オメガコール』『ソードプラチナ・エターナル』。それと、隠しスタイルで5種。隠しスタイルは、暴露を積むことで発動させることが可能」
サイアジの暴露を受けて、
テラスは、まっすぐな目で、
「へぇ……なるほどね」
一度、納得したように、頷いてから、
「……『ゼロセンケン』の時までは、まだ、確信がもてなかったけど……ここまでくると、さすがに、もう確定。あんた、『こっちの世界』にいる『私』の『何か』だな」
『究極超神化6』は『多種多様にカスタムできる覚醒技』というのが特徴の一つ。
そのカスタムの方向性は神によってさまざま。
個人の特質や嗜好性が色濃く出る特殊な形態。
カスタムのパターンは正しく無限通りなので、
それが、かぶるということはほぼありえない。
だから、テラスは確信する。
目の前にいる『敵』が、
『自分の異次元同一体の何かである』と。
「ここ……『同じ次元の異世界』かと思っていたけど、なるほど……根本からして、まったくことなる世界だったってわけか……異世界転生や転移は死ぬほどしてきたけど……異次元同一体がいる世界に迷いこむのは初めてだなぁ……閃舞千本桜で一瞬だけ、別の世界線と同調したことは、何度かあるけど」
異次元同一体を呼び出して闘う裏閃流の秘奥義『閃舞千本桜』。
この異質な技を使った時――あるいは、『使われた時』だけ、センは、異次元同一体のいる世界で舞う事ができる。
この辺に関しては、『未来の自分をつれてきて宿題を手伝わせるドラ〇もん』みたいなものと思ってくれればいい。
閃舞千本桜の場合、『未来』ではなく、『違う世界線を生きている今の自分』を連れてきて手伝わせる感じ。
「――主の名誉のために、貴様の勘違いを正す。私の主は、貴様のような、安っぽい『バグったイレギュラーの異次元同一体』とは格が違う」
「……はいはい……わかった、わかった。あんたの神様が一等賞。もちろんそうさ。あんたの中ではな」
どうでもよさそうに、テキトーな返事をするテラス。
『自分の神様だけが最高』で、他の神は全てゴミ――『狂信者というものは、たいがい、そういう思想に陥るものである』と経験上、深く理解しているテラスは、サイアジの妄言をサラっと流す。
「さて、と……それじゃあ、いこうか……」
テラスは、より深く、自分の中へと潜っていく。
高まっていく。
すべてが。
「――究極超神化6/アポロプラチナ・ソウルギス――」
顕現する、黄金の白銀。
禍々しさを感じさせる狂気のメタリック。
矛盾を包み込んだ神の色。
強欲な異彩。
冒涜的な烈血のカルマ。
いと美しきオーロラの命脈。
隠しスタイルのアポロプラチナ・ソウルギスは、
間違いなく高性能なのだが、しかし、アホほどピーキー。
非常に扱いづらいスタイルで、使用中は、ゴリゴリと精神力が削られる。
そんな極端な変身をして見せたテラスに対し、
「――究極超神化6/スノープラチナ・メトロクロック――」
サイアジは、渋い変身をしてみせた。
暴露を積んだくせに、アポロプラチナではなく、スノープラチナを選択するというビター感。
スノープラチナは、『スピード重視のヒットアンドアウェイ型』で、デバフが得意なスタイル。
究極超神化6の中では、唯一といってもいい、長期戦も得意なスタイル。