表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

319/1228

94話 抵抗。


 94話 抵抗。


「残念の一言で終わらせるには……ちょっと、もったいないな……」


 ザンクはあがく。

 レバーデインの時は、まだ『何もなかった』ので抵抗できなかったが、

 しかし、今のザンクさんには手札がたくさんある。


 『かなりキツい状況』であることは事実だが、

 しかし、『何も出来ない』と嘆くには、あまりにもカードがありすぎた。




「――アマルッッ……ガメーションッッ!!」




 まずは、『ザンバグとの合体』で、自身の魔力を底上げする。


 バーチャやセンとの出会いを経て、

 ザンクは、『ザンバグ』の扱い方もうまくなっている。


「――オート・アナライズ――」


 自身の『回復を阻害する因子』を自動で解析させつつ、

 ザンクは、朦朧とする意識を、どうにか奮い立たせて、



「――異次元砲ぉおおっ!」



 魔力とオーラを大量にぶち込んだエネルギーの照射を放つ。

 『イタチの最後っ屁』などではない。

 しっかりとした下地のある一手。

 かなり膨大な火力。

 『そこらの大神級の龍』であれば、秒で消失する莫大なゲロビ。


 だけれど、目の前の竜人は、

 鼻で笑って、


「ただ魔力量が多いだけ。まったくもって練度の足りない異次元砲だな。これで、私を殺せると本気で思ったか? だとしたら、貴様の知性は虫並みだ」


 かき消すでも、受け流すでもなく、

 ただ、その身で受け止める竜人。


 異次元砲は、無属性かつ貫通属性なので、ノーダメージということはなかった。

 が、しかし、


「私の膨大な生命力の前では、この程度のダメージは蚊に刺されたようなもの」


 竜人は、『バイタリティが高い』だけではなく、

 『自然回復力もべらぼうに高い』らしく、

 異次元砲で与えた『多少のダメージ』は、

 ほんの数秒経過しただけで、すでに、全快してしまっている。


「意味のないあがきはやめろ。タナカ・イス・ザンク。お前ごときが何をどうしたところで、この状況は変えられない。それに、もう、十分、自由時間は堪能しただろう? ここから先、貴様の自由意志は必要ない。意志なき歯車としての役目をまっとうしてもらう」


 たんたんと、そんなことを言う竜人。


 と、そこで、ザンクは、


「――ウイルス型の回復阻害か……っ」


 『自分の回復を阻害している因子』を見つけ出していた。

 オートで解析しつつ、攻撃しつつ、その上で、

 自分自身でも、自分の不具合を解析していた。


 『今できる最善』に『より深い最善』を重ねて、

 問題点をあぶり出すと、


「全身に広がっとる……魔法で対処は無理……」


 即座に判断すると、


「……『初期化リカバリー』するしかないか……くそが……」


 そうつぶやくと、

 ザンクは、ザンバグを使って、

 自身のデータを初期化していく。


 それを見た竜人は、


「っ! ダメだ! 許可しない! 貴様が得た力は、『真・神帝陛下』のもの! 勝手に消去するなど許さない!」


 そう言いながら、瞬間移動で、ザンクの目の前にくると、

 『ザンクの首をへし折って、息の根を止めよう』とした。


 だが、


「……っ?!」


 そのザンクは残像だった。

 より正確に言えば、わずかに質量をもった思念体。

 決して見破られないように、看破されないように、

 繊細な注意を払って仕上げた思念体だったから、

 ――どうにか、竜人のセンサーを、ごまかすことができた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ