表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

316/1228

91話 三つの首を持つドラゴン。


 91話 三つの首を持つドラゴン。


 おぞましいオーラを放つ『三つ首の龍』が這い出てくる。

 苦しみながら、目をひん剥いて、


「ギギガァアアアアアッ!!」


 激痛でも訴えかけるように、

 全力で咆哮をあげる。


 そのあまりに『やかましい声』を前に、

 ザンクは、鬱陶しそうな顔で、耳をふさいで、


(……うっさいのう……)


 と、心の中で吐き捨てつつ、

 冷静に、『三つ首の龍』を観察する。



(……頭が三つある、闇属性のドラゴン……『パラミシ・アジ・ダハーカ』か?)



 と、さっそく種族を特定していくザンク。

 以前、コスモゾーンの『モンスターデータ』に目を通したことがあるので、

 モンスターに関しては、そこらの学者よりも知識は深く広い。


(……んー、でも……なんか、パラミシ・アジ・ダハーカにしては、魔力が高い気がするな……天才型か?)


 モンスターの中には、たまに、『天才型』と呼ばれる高スペックの希少種が生まれることがある。

 天才型は、一般的な個体のモンスターよりも存在値が高く、特別なスペシャルなどを保有しているケースが多い。



 ザンクが、あくまでも冷静に、パラミシ・アジ・ダハーカを観察していると、

 そこで、


「ギギギギギギイィ!!」


 パラミシ・アジ・ダハーカの体が、どんどん、コンパクト化されていく。

 三つの首がギュギュギュっと、一つに統合されていき、

 完全な『ドラゴン型の肉体』が、『人型』へと変化していく。


 数秒後には、

 『見た目だけでいえば、そこらの魔人と大差ない』という状態になった。


 パラミシ・アジ・ダハーカは、


「はぁ……はぁ……」


 乱れた呼吸を、


「すぅ……はぁ……」


 深い深呼吸で整える。


「……」


 そこで、パラミシ・アジ・ダハーカは、スっと、ザンクに視線を向けて、




「――貴様が、タナカ・イス・ザンクか……想像していたよりも、ずっと脆そうだな」




「……ザンクさんの名前をご存じとは、なかなかの『つう』やな。ザンクさんのスペックは確かに、オールワールドクラスなんやけど、知名度的には、そこまで高くない。さて……どうして、お前は、ザンクさんのことを知っとんのかな?」


「そんなことを貴様に教える義理はない」


「そうなん? ふぅん。まあ、『なんでか教えてはくれん』ということと、お前的には『ザンクさんに対して義理がない』という情報は教えてもらったから、情報収集という点で言えば、普通に勝利やな。色々と教えてくれてありがとう」


 などと、負けず嫌いを土台とした『小粋なマウント』をとっていくザンク。


 いつも通り、自由にチョケつつも、

 軽く体を動かしながら、


「――『召喚されたことに対するリアクションが希薄』なことと、『想像していたより』って言葉が飛び出てくる関係上から、お前がザンクさんの前に出てくることは、お前的には、既定路線だった可能性が大。その予測と、これまでのザンクさんの違和感を統合すると……『ザンクさんがお前を召喚した』んではなく、『ザンクさんの行動をコントロールしとる誰かが、ザンクさんを使って、お前を、ここに送り込んだ』と考える方が自然。ほんまに鬱陶しいけど……んー、まあ、そこに対してイラつくんは後にしとこう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ