79話 『バグやチートを駆使しても、それでも勝てるかどうか分からないほどの、イカれた強敵』でひしめいている異常世界。
79話 『バグやチートを駆使しても、それでも勝てるかどうか分からないほどの、イカれた強敵』でひしめいている異常世界。
(舞い散る閃光よりも高い場所に立ち……そこからしか見えない風景を確かめること……)
たくさんの『メインクエスト』を抱えて、かなり忙しくなりそうだが、
しかし、この状況を、ザンクは、非常に楽しんでいた。
(おもろい……おもろいやないか……)
バグやチートを駆使しても、
それでも勝てるかどうか分からないほどの、
イカれた強敵でひしめいている世界。
そんな世界を翻弄できる可能性をもっているのが自分。
可能性の上では、トウシも神も閃光も、全てを超えることも不可能ではない化け物なのが自分。
そんな事実に興奮してくる。
楽しくて仕方なくなってくる。
(お前らというオモチャで、遊び倒したるから……覚悟しとけよ)
ニタァっと、黒く微笑むザンクさん。
――ドーキガンとザンクにバチコーンとかましてみせたセンに、
ゾメガが、
「さすがじゃな、センエース。ぬしの輝きは素晴らしい」
そう言いながら、
全身に魔力を充満させて、
「余にも一撃いれてみよ。そうすれば、最後まで生きのこらなくとも、褒章と単位を与える」
「え、マジで?」
「うむ。だから、後先考えずに、本気でこい。ぬしの全てを余にぶつけてみよ」
「了解、陛下」
そう言って、センは、全身にオーラと魔力を充満させる。
ミシャから奪い取った邪悪オーラを丁寧に支配して、
今の自分に可能な『最高峰』を肉体に顕現させていく。
「――武装闘気ランク9!」
オーラの鎧で全身を包み込むセン。
F魔法である武装闘気をランク詠唱つきで使用するというトリッキーなムーブ。
これは極めて例外的な魔法の使用例。
ランク魔法は、末尾の数字で性能が変わるが、
『F魔法』は、使用者の存在値によって性能が変わる魔法。
しかし、実は、裏技的に、『F魔法』を『ランクつき』で使うことも可能。
基本的に、F魔法を『ランクつき』で使うと、性能がガクっと落ちる。
『F魔法にランクをつける』という行為は、
簡単に一言で言えば『間違った詠唱方法』である。
ただ、この間違った使い方をすることによる利点が一つだけあって、
それは、『非常に難易度が高い魔法でも、発動させることが不可能ではなくなる』という点。
武装闘気は、非常に高度な魔法で、マスターするためには、『特化した才能をもっている』か、もしくは『長年の練習』が絶対に不可欠。
だが、『ランクをつけて詠唱』することにより、
『正しい詠唱で発動させるよりもはるかに性能は劣る』かわりに、
『無能』でも、『努力』しだいで、『なんとか発動させること』が可能となる。
おまけに、『かなり消費魔力を抑える』ということも可能。
武装闘気による全ステータスの向上は、劣化した状態でも恩恵が大きいので、『長年、魔法の研究』を続けている者なんかは、この『裏技』を使って能力を上げて闘う、ということも少なくはない。
センのムーブに対し、
ゾメガは、空を見るような目を向けて、
「センエース! ぬしは、なぜ、そんなにも眩しい!」
感情のままに、思ったことを叫ぶ。
脊髄反射の詰問。
理解できない狂気に対する疑念。