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76話 『元雷ゴブリン』VS『田中ワンダーマン』


 76話 『元雷ゴブリン』VS『田中ワンダーマン』


(素晴らしい……『物理的な死角』に注意力が向いていたボクの『意識上における死角』をついた一撃……速度も、オーラも、魔力も、申し分ない……存在値的には200にも満たないが……彼の可能性は、黄金よりも眩しい……っ)


 本気で美しいと思った。

 だから、ドーキガンは、センの拳を顔面で受け止めた。


 ――その身で、感じてみたくなったのだ。

 彼の強さ。

 彼の覚悟。

 彼の想い。

 その全てを、体で直に感じたくて仕方がなかった。

 そのぐらい、

 センエースの輝きは、ドーキガンの瞳に眩しく映った。


 センエースの拳を顔面で受け止めるとき、ドーキガンは、防御力の方に回していたオーラを、かなりの割合でカットしていた。

 ステータス差を考えれば、センの攻撃で、ドーキガンがダメージを受けるわけがない。

 しかし、『無防備』状態で拳を受ければ、当然、顔の骨は折れるし、鼻からも血が溢れる。


「ぅ……っ……」


 ズキズキとする顔の痛みを感じながら、

 ドーキガンは、


(とんでもない原石……もし、彼が、あと千年ほどはやく生まれていて、『すでに完成された状態』で『ボクの前』に立っていたならば、ボクは、おそらく、彼の足元にかしずき、弟子にしてくださいと懇願していただろう)


 彼がたどり着くであろう未来を想い、

 ドーキガンは魂を震わせた。


 と、その時、



(――『イマジナリィ・マリオネットゲイザー』――)



 それまでは静観していた『モナルッポの召喚獣』が、

 ドーキガンの横を通り抜けて、

 センエースに殴り掛かった。


 モナルッポの召喚獣――田中・イス・斬九は、

 ドーキガンの動きをトレースした上で、


「キシャアアアア!」


 と、奇抜な雄叫びをあげながら、

 センの顔面に向かって拳をつきつけた。


「くぉおぁっ!!」


 ザンクの動きはキレッキレだったが、

 ステータスが低いので、

 今のセンでも、ギリギリ避けることが出来た。


「なっ……マジでかっ?! ただのワンダーマンっぽいのに、なんだ、その動きっ! はぁああ?!」


 異常にキレッキレの動きをみせるザンクに、センは心底困惑しているが、

 そんなセンの動揺が落ち着くのを待ったりせず、

 ザンクは、さらに、華麗な追撃の一手をぶちこんでいく。


 ただの召喚獣では絶対にありえないほど洗練されたムーブ。


(……これほどの召喚獣を操る召喚士ポール……なるほど……ゾメガやドーキガンに匹敵するってのはちょっとアレだが、しかし、際立って高性能だってのは嘘じゃねぇな……)


 センは、脳を沸騰させて、

 ザンクのキレッキレな動きに対応していく。


 ――一介のワンダーマンが『想定外の動き』を見せたことに、

 最初こそ、かなり驚かされたものの、しかし、


(ん……見えてきたぞ……なるほど、ドーキガンの動きをコピーしているのか……)


 『長年にわたる地獄』の中で磨き上げてきた戦闘考察力で、

 ザンクの秘密を速攻で暴いて見せるセン。


 続けて、センは、


(雑なコピーだな、キレはいいけどトロい……いや、コピーの精度が低いんじゃなく、こいつのスペックが低いのか……)



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