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75話 やめてぇええええ! もう無理だからぁああああ!


 75話 やめてぇええええ! もう無理だからぁああああ!


 致命傷は避けたのだが、完全には回避しきれず、飛翔する斬撃はセンの顔をかすめた。

 頬が裂けて、血があふれる。


(ちょ、直撃したら、普通に死んでた……あいつ、バカか? 学生相手に、なにを、ガチで攻撃してんだ……っ)


「素晴らしいですね。それでは、次は、もう少し出力を上げた上で、インファイトといきますよ」


「いやぁああ! やめてぇええ! もう無理だから! 今のが『ギリギリのギリ』だからぁああああ! もう勘弁してぇえええ!」


 そんなセンの懇願をシカトして、

 ドーキガンは、踏み込み足に心をこめる。


 神速で距離を詰めると、

 とんでもない速度の拳の連打を、センに浴びせかける。


 1・2発であれば、積み重ねてきた全てを使って回避することもできた。

 しかし、絶妙に、『安地のない連打』だったため、

 今のセンのステータスでは避ける術がなかった。

 受け流しをしようにも、見えない速度の攻撃なので、タイミングもクソもない。


 ――ドーキガン本人は理解していないが、

 『今のセンに一発かます』という選択において、

 実のところ、彼は、『最善の一手』を放っていた。


 とにかく、『豪速で膨大な物量大作戦』で『逃げ場のない弾幕』を張ること。

 それが、センに対する最も有効な手段。


「ぶへぁああああああああああああああああああっ!」


 全部で『12発の連打』をいただいたセンは、

 一瞬、気絶しそうになったが、


「ぐっ……ぐぅうっ!」


 血の味を感じつつ、

 どうにか、奥歯をかみしめて、


(く、くそったれがぁあああ……い、一年のタイムロスは……許容できねぇ……サバイバルの褒章を……逃すわけいはいかねぇんだよぉおおおっ!)


 心に、ガツンと、莫大な気合いを込めて、

 センは、ドーキガンをにらみつける。


 その気迫に、ドーキガンは、


(……な、なんという輝き……)


 思わず、一歩のけぞってしまった。


(……このボクを胆力だけで引かせるとは……)


 ごくりとツバをのむ。

 ジットリとした汗が頬を伝った。


(ゾメガさんの目は完璧に正しかった……この少年は、素晴らしい)


 ドーキガンが、心の中で、センを称賛したタイミングで、

 センは、影の中に溶けた。



(っ……影移動の魔法……)



 その手の魔法に関する知識は十分にあるので、

 変に動揺したりはしない。


 冷静に、『死角となっている影』の『位置』を確認して、

 どこから攻撃がきても対応できるように意識を調節する。


 そんなドーキガンの『正しい警戒』の『死角』を、

 センはつく。


 ――わざわざ影に忍んでおきながら、

 あえて、ド正面から、


「――閃拳っっ!!」


「――っっ?!!」


 練りに練ったオーラを込めて、

 センは、ドーキガンの顔面に向かって、自慢のグリムアーツを放つ。


(す、素晴らしい……『物理的な死角』に注意力が向いていたボクの『意識上における死角』をついた一撃……速度も、オーラも、魔力も、申し分ない……存在値的には200にも満たないが……彼の可能性は、黄金よりも眩しい……っ)


 よけようと思えば、

 普通によけることも可能だった。

 センの拳は、まだ、ドーキガンの反応速度に追いついていない。


 だが、ドーキガンは、


「ぐふっ!!」


 あえて、センの拳を、顔面で受け止めた。


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