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72話 なんで、人類の英雄様が、学生相手に本気を出してんの? バカなの? 死ぬの?


 72話 なんで、人類の英雄様が、学生相手に本気を出してんの? バカなの? 死ぬの?


「セン! ミシャ! ラーバ! あんたらも、正式に、私の指揮下に入れ! 全員で、ちゃんと一致団結しないと、陛下と勇者の両方を相手にすることはできない! あと、ボーレ! 現実逃避するな! あれは、本物の勇者だ! 太刀筋を見れば分かる! あれほどのイカれた剣豪が勇者の他にいてたまるか!」


 完璧なリーダーシップで、チームをまとめ上げると、

 そのまま、ドーキガンの対処にうつるカルシィ。


 『彼女が、非常に、優れた人材である』と一目で理解したドーキガン。


 ――もし、状況が、切迫していなかったら、

 ドーキガンも、彼女に対して、もっと『大人な対応』をしていただろう。


 『聖龍王国の脅威』を感じている状況でなければ、

 もう少し、カルシィの力を引き出すために、色々と工夫をして動いていたことだろう。


 彼女は本当に優れている。

 一見すると、この中で、もっとも注目すべきは彼女である。

 しかし、ゾメガが評価したのは、彼女ではなく、後ろのブサイク。


(ゾメガさんが、君ほどの『有能な原石』ではなく、『彼』を評価した理由……今のボクには、そこの部分にしか興味がないのですよ。申し訳ありませんね)


 心の中で、そう謝罪をしてから、

 ドーキガンは、グンっと、踏み込む速度を上げて、

 カルシィの腹部に、ドゴォっと、重たい拳を叩き込んだ。


「うぐふっぉっ!」


 即座に意識を失って倒れこむカルシィ。


「「お嬢!!」」


 と、カルシィの配下である『ドコス』と『エーパ』が心配そうに叫んだ。

 忠誠心の高い二人は、『カルシィを気絶させたドーキガン』に殺気を向けるが、


「うぐっ!」

「がはっ!」


 気持ちだけでは当然何もできず、

 あっさりと撃退され、気絶させられる。


 その状況を目の当たりにしたボーレは、青い顔で、


「ひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ! えぇ?! なんで、本気っ?! いや、ダメだろ! これ、あくまでも、学校の行事だぞ! なに、人類の英雄様が、学生相手に本気で――うぐほっ!!」


 正論を叫ぶボーレの腹部にも、『重たい一撃』をぶちこんで黙らせる。


「――君の発言は正しい。今のボクは、確かに大人げない」


 そう言いながら、瞬間移動で、ラーバの背後をとると、

 ラーバが『ドーキガンの接近』に気づくよりもはるかに早く、

 ラーバの首裏に手刀をぶちこんだ。

 言葉を発する間もなく一瞬で気絶してしまったラーバ。


 それを尻目に、センは、


(おそろしくはやい手刀……俺でなきゃ見逃しちゃうね……と言いたいところだが、俺でも、普通に、さっぱり見えなかった。……あんなもん、まともに対応できねぇ。秒でころがされる)


 冷や汗を流しながら、

 隣にいるミシャに目線を送る。


 その視線の意味を即座に察知したミシャは、

 右手に魔力を込めて、


「遅鈍・龍毒ランク16」


 ドーキガンに向けて、『体の自由を奪うこと』にリソースをさいた龍毒を放った。


 死霊系・闇系・デバフ系の技能を得意としているミシャの毒は、

 すさまじく高品質で、ドーキガンが相手でも普通に通る。


「むっ……」


 ミシャの龍毒をもろにくらったドーキガンは、


(……これは……すごい……素晴らしい魔力……デバフ魔法だけに限定した場合、これほどの魔法をくらったのは、生まれて初めてかもしれない……)


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