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70話 俺とミシャ、二人で邪神だ! どうだ、ビビったか!


 70話 俺とミシャ、二人で邪神だ! どうだ、ビビったか!


「頼む……ドーキガン・ザナルキア……人類の救世主よ……俺たちを救ってくれ……せめて、ラーバだけでも――」


「素晴らしい演技力ですね。その技術だけはなかなかのものです。だからこそ、嘘の程度が低いことが悔やまれますね。もう少し、リアリティのある嘘で訴えかけられていた場合、あなたの作戦がハマっていた可能性はゼロじゃない」


 そう言いながら、

 ドーキガンは、リグの背後にまわり、

 リグの首裏に、重たい手刀を落とした。


「うぐっ……っ」


 秒で気絶してしまうリグ。


 魔法を発動させたリグの意識が消えたことで、

 限定空間も解除された。


 元の世界に戻ったドーキガンは、

 一度、足元で気絶しているリグをチラ見してから、

 センとミシャに視線を向けて、


「一応、確認しておきます。ここで気絶している彼は、限定空間の中で、ボクに、『君たちこそが邪神だ』としきりに訴えてきたのですが、本当ですか?」


 と、そんなことを言われたセンは、

 一瞬だけ、キョトン顔をして見せてから、

 その後に、


「あ、ああ、そうだ。俺とこいつ、二人で邪神だ。というわけで、俺達は強いぞぉ。だから、俺達に対する警戒心を強めて、なるべく、俺達から距離をとることをお勧めする。そうじゃないと、邪神パワーが炸裂して、下手をしたら、あんたは死ぬ」


「なるほど、それは怖いですね」


 一度、半笑いでそう言ってから、


「嘘も、状況と内容によっては、強力な武器になりますから、それをやめろと言う気はありませんが、しかし、もう少し、内容を練った方がいい。あと、邪神を騙るのは、メリットよりもデメリットの方が明らかに大きいので、やめた方がいいですよ。これは、本気の忠告です」


「お、俺のどこが嘘ついてるって証拠だよ!」


 と、焦ったフリをしながら、ブロント語で返すセン。


 心の中では、


(……これで、リカバリーはオーケーかな)


 と、冷静に、『ドーキガンの疑念』を処理できたことに満足している。


 リグとラーバが、真実を語ったとしても、

 『内容があまりに突飛すぎるので、おそらく、誰も信じないだろう』

 ――というのが、センの予想だった。


 実際のところ、今回のように、『誰も信じない』という結果になることが大半。

 しかし、リグとラーバが、

 真摯に、しつこく、何度も、世界に訴え続けた場合、

 『もしかしたら、本当にかもしれない』と思う者が出てくる可能性もゼロではない。


 だから、センは、『嫌だった』けれど、リグとラーバを、側におくことにした。

 今回のように、

 リグが、全力で『誰か』に、真実を訴えたとしても、

 即座に、『リグが言っていることは、ただの嘘ですよ』と、

 セン本人が鋭角なフォローを入れることで、

 リグの訴えをうやむやにするため。


 今回の場合、

 『違う!』と強く否定するよりも、

 『リグのウソに乗っかって、スキをつこうとしている』

 という形にすることで、

 リグの発言を『嘘である』と強く認識させる作戦をとった。


 こういう、小狡い知恵が回るのも、センエースの特徴の一つ。

 決して賢い男ではないのだが、

 ピエロのお面をかぶらせたら、なかなか流暢かつスマートに道化てみせる。


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