表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
292/1228

67話 本物! あれは北大陸の勇者! やばい! 下手を打ったら死ぬ!


 67話 本物! あれは北大陸の勇者! やばい! 下手を打ったら死ぬ!


 ドーキガンとゾメガに匹敵する力を持つのは『北大陸・北方の森を根城にしている聖龍王』ぐらい。

 その程度の噂ぐらいなら、最低限、社会情勢を勉強している者なら誰でも知っている。


(召喚士ポール。聞いたことがない。偽名? ……いや、というか、そもそも、陛下や勇者に匹敵する者など聞いたことがない……)


 それほどの実力者が存在するのであれば、

 ある程度、噂が広まっていないとおかしい。


(……こっちの心をへし折るための嘘である可能性が高い。もっと言えば、あの男が、本当に勇者であるかどうかも疑わしい……陛下級の魔法使いに『擬態』の魔法を使われれば、私では看破のしようがない)


 などと、カルシィが、悩んでいる間に、

 ゾメガが、

 バキバキと指の関節を鳴らしながら、


「紹介も済んだことだし、それでは、はじめようか」


 そう言うと、

 ゾメガは、一歩後ろに下がり、

 ドーキガンが、剣を抜きながら前に出た。


 そして、そんな二人の、ちょうど中間地点を陣取るモナルッポ。


 ――カルシィたちの覚悟が固まる前に、

 ドーキガンは、踏み込み足に力を込めた。


 決して本気ではないが、

 かなりの豪速で距離を詰めて、

 カルシィに剣を叩き込む。


 ギリギリのところ、

 反射で反応したカルシィ。

 自分の剣で、ドーキガンの剣を受け止めると、

 そこで、


(お、重たぁぁぁっっ!! な、なに、この鋭さっ! ただ速いだけでも、ただ強いだけでもない……っ)


 ドーキガンの剣を直接受けたことで、

 彼の『異質な強さ』を、すぐさま理解した。


 強者は強者を理解できる。

 カルシィは、ドーキガンの強さを理解できる程度には強者だった。


 吹っ飛ばされたカルシィは、

 姿勢を整えながら、


「本物! あれは北大陸の勇者! やばい! 下手を打ったら死ぬ!」


 今まで受けたことのない剣。

 その覇気を受けて、疑念が一瞬で吹き飛んだ。


 ――となると、


(あの、後ろにいる召喚士……まさか、本当に、勇者に匹敵する?! い、いや、さすがにそれはない! 勇者や陛下に匹敵する存在が、そんな、ポンポンいるわけがない!)


 カルシィの後ろで、

 センは、


(えげつない剣の鋭さ……間違いないな……あいつは本物……っ)


 心の中でつぶやきつつ、渋い顔で天を仰ぐ。


 センも、どこかで、『ニセモノではないか?』と疑っていた。

 ドーキガンのフリをしている『ゾメガの側近』の可能性を考慮していた。


 しかし、先ほどの、カルシィに対する一手を目の当たりにして、

 彼が、間違いなく、この世界で指折りの化け物であると理解する。


 センがそう理解したと同時、

 センを盾にするようにして、センの背後に隠れていたボーレが、


「ピンときたぞ、後輩」


 などと言いながら、センの背中をバシっと叩き、


「おそらく、あの勇者はニセモノだ。ゾメガ陛下は、俺達の心を折るために、勇者が参戦していると嘘をついたんだ。どうだ、俺の灰色の脳ミソは! うやまっていいぞ! こうべをたれて、つくばえ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ