表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

276/1228

51話 ボクよりも強い。


 51話 ボクよりも強い。


 バーチャの視線とカチあったと同時、

 モナルッポは、元気よく、


「バーチャ様、私も、手合わせに、参加させていただけませんか?」


 そう声をかけると、

 バーチャは、顎を動かすだけで、

 乱取りに加わるように指示してきた。


 了承を得たモナルッポは、

 ドーキガンに、目線をおくる。


 事前に打ち合わせはしている。

 この戦いでは『ドーキガンがバーチャを知ること』が目的。


 モナルッポは、そのために何が出来るかを考え、そして、実行にうつす。


(ドーキガンのサポートを徹底し、少しでも多くの情報をドーキガンに流し込む……)


 建前上は、『召喚獣をタンクにしている』という状態だが、

 本音の部分では『ドーキガンがメインで、自分はサブ』。


 さっきから後ろでボーっとしているザンクのことは、いったん放置していく構え。


 ドーキガンは、

 剣を抜いた状態で、精神を集中させて、

 丁寧にオーラと魔力を練り上げる。

 最大出力的には、存在値300前後に抑えつつも、

 技能の部分で、数字以外の部分を底上げしていく。



 ――豪速で、バーチャの懐に飛び込んでいく。



 その速度に、一瞬だけ、バーチャは目を見開いた。

 しかし、驚愕というレベルではない。

 すぐに、ドーキガンの速度に対応していくバーチャ。


 とんでもない速度で切り込んできたドーキガンの攻撃を、

 紙一重のところで回避したバーチャは、


「質の高い召喚獣だ……」


 と、感想を口にしてから、

 ドーキガンの腹部に、カウンターの拳を一発たたきこむ。


「……ぐふっ……っ」


 重たい一撃をいただいたドーキガンは、

 濃い血を吐きだした。

 たった一撃をもらっただけなのに、眩暈と吐き気が止まらない。


(なんという重たい一撃……伝わってくる……この男が積み上げてきた全て……とんでもない質量……)


 たった一撃で、バーチャの奥深さを理解したドーキガン。

 だが、そのとんでもない大きさにビビったりはしない。

 そんなヤワな精神は持ち合わせていない。


 ――むしろ、たぎる。

 心がグワっと燃えていく。


(――閃光斬――)


 フェイクオーラで気配を消した上で、

 飛翔する斬撃を放つドーキガン。


 『最悪、自分の正体がバレてもいい』という覚悟を込めて放った、なかなかの一手。


 そんなドーキガンの攻撃を、

 バーチャは、


「ああ、なるほど」


 そうつぶやきながら、

 第一左腕で、飛翔する斬撃を防御する。


 腕に傷は入ったが、即座に回復していく。

 それを見たドーキガンは、


(……破格の生命力! 単純に戦闘力が高いだけではなく、なかなか殺せない敵……なんという強大な化け物……)


 組み手がはじまってから、時間はわずかしか経っていない。

 たがいに、かわした手数は、さほどない。


 それでも、理解できる、バーチャの圧倒的な高み。


(間違いなく、こいつは、ボクよりも強い……っ!)


 冷や汗があふれた。


 モナルッポから話を聞いた段階で、

 バーチャが、とんでもない存在であることは理解していたつもりだったが、

 こうして、実際に目の当たりにすると、やはり、ショックの度合が違う。


(今のボクでは勝てない……モナルッポさんやゾメガさんと力を合わせて、それでもどうかというレベル……これほどの高みに到っている者がいるとは……想定外……)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ