46話 解析系の能力を持っているはずだし、普通にプロパティアイも使えるはず……なのに、どうして、東志は、ザンクさんの正体に気づかない?
46話 解析系の能力を持っているはずだし、普通にプロパティアイも使えるはず……なのに、どうして、東志は、ザンクさんの正体に気づかない?
(……間違いない。こいつが、神……もしくは、神のサポート役。この世界のシステムに対し、明確な管理者権限をもっとる。普通に、ドーキガンに対して夢を通じて行動を操るという、だいぶキ〇ガイなことをやっとるし)
ドーキガンが夢で見た『お告げ』というのは、
彼――T・104のサイコダイブによるもの。
ドーキガンの行動を予測し、丁寧に操った。
目的は、モナルッポと共に、ここまでこさせること。
ここまで、すべて、Tの計算通りにコトが運んでいる。
Tにとって想定外だったのは、
ザンクという存在だけ。
「スタービーストは、だいぶええ感じやけど……こっちのワンダーマン、ちょっと酷いな……こんな、身体能力が低い星霊種とか、見たことないんやけど……どんだけ、下ブレてんねんって話やで」
などと、ザンクのスペックに対して呆れ口調でつぶやく。
「ここまで『低スペックの個体』ってなったら、逆に、レアやなぁ。ほんま、わろてまうわ」
のんきな、Tの発言を受けて、ザンクは、
(……おかしいな……)
不思議そうな顔で、首をかしげる。
(こいつも、解析系の能力を持っとるはずやし、普通にプロパティアイも使えるはず……せやのに、なんで、ザンクさんの正体に気づかんのや?)
ザンクが知る東志という男は、
非常に慎重で狡猾で抜かりがない天才。
明らかに異常個体であるワンダーマンを調べないはずがないし、
調べたら、ザンクの擬態であることはすぐに理解できるはず。
(……分かった上で、泳がしとる……って感じでもないねんなぁ)
人の顔色をうかがって生きてきたことはないが、
しかし、親戚の表情の機微ぐらい、なんとなくは分かる。
もし、東志が、ザンクに気づいていた場合、
絶対に、なんらかのリアクションを見せるはず。
(……んー……まあ、『めちゃめちゃシッカリとした演技をしとる』と言う可能性もなくはないけど……ザンクさんに、そんな演技を見せる理由とかあるか? こいつが持っとる『神の権限』は、エグいほど破格の力……ザンクさんを警戒する必要なんかないし……それに、『ザンクさんの頭があれば、東志に気づく』ということぐらい、東志なら予想できるはず……)
そこで、ザンクは、頭を働かせた。
全力で回転させた結果、
(……もしかして、ザンクさんは、かなりエグ味の強い『イレギュラー』か?)
Tのログを見てみた結果、
『ザンクが出現し、ヘルズ覇鬼を壊した』という点以外は、
すべて、Tの想定通りにコトが進んでいる。
ほかにも、いくつか存在する、何点かの証拠から、
ザンクは、
(……コスモゾーンのデータバンクに、秘匿情報として刻まれとった『認知の領域外のさらに外側』というのが、もし、本当に存在したとして、仮に、ザンクさんのデータが、そこで管理されとるものやと仮定すれば……)