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36話 死なないレバーデイン。


 36話 死なないレバーデイン。


(さ、最悪だ……レバーデインは聖龍王国との戦争で必要なコマだったのに……レバーデイン級の強者は少ないんだぞ……くそ……っ)


 渋い顔で、『戦力の低下』を嘆くモナルッポ。


 実の兄が死んだというのに、モナルッポは、『家族の死』という点に対しては何もかんじていない様子だった。

 『家族どうこうの情』よりも『王としての未来』だけを最優先で思考する狂人。

 それがモナルッポという王子である。

 『人として』は、色々どうかと思うところがあるが、

 しかし、『民の視点』でいえば『信頼にたる王』と言えなくもない。


 手駒を失ったことに対して悲観しているモナルッポの視線の片隅で、カバノンは、青い顔で天を仰ぎ、サーナは、渋い顔で舌打ちをした。

 他の代表格連中も、色々と『思うところ』がありそうな苦い表情を浮かべる。

 カバノンほどの責任を感じてはいないが、この現状を対処しきれなかったことに対して、一定以上の責任はかんじてしまう。


 みな、自国に帰ったら、なんらかの処罰を受けるだろう。

 そもそも、この状況から無傷で帰還できるのか?


 ――などなど、誰もが不安&悲壮な顔をしていたのだが、


 そこで、モナルッポが気づく。


(んっ?! あれは…まさか……)



「げおっ、がはっ、ごへぇつ!」



 モナルッポの視線の先で、レバーデインが息をしていた。

 虫の息だが、確かに生きている。


(ば、ばかな……グチャグチャに踏みつぶされたのに、どうして……)


 グチャグチャにされたはずの頭部が、

 『ギリギリ生命活動を維持できるレベル』に再生していた。


(回復魔法をつかったのか? レバーデインに、そんな高等な魔法は使えなかったはず……)


 『生きていたことを喜ぶ』という感情の前に、

 『なんで死んでいないんだ?』という純粋すぎる疑問の海に溺れる。


(死を目の前にして、眠っていた力でも目覚めた? それとも、まさか、俺と同じで、力を隠していたとか……?)


 不可思議がとまらない。

 理解しがたい現状に困惑。


 と、そこで、モナルッポ以外の皆も、

 『レバーデインが生きていること』に気づき始め、

 そして、モナルッポ同様、困惑する。


 頭をつぶされたのに、なんで?

 どうして、再生した?


 そんな疑問符が、全員の頭の中を飛び交っている間に、

 ヘルズ覇鬼が、また、腕に、とびっきりのオーラを込めて、


 レバーデインの胸部を、魔力でコーティングした剣で貫く。


「ぐぶづっ!」


 再生したばかりの口から、大量の血をはくレバーデイン。


 心臓をグチャグチャにされて、

 大量の血を吐いて、

 だから、当然、白目をむいて、そのまま死に至った。

 ――そうとしか思えなかった。


 しかし、数秒後、また、



「ぶはっ! はぁ……はぁ……はぁっ!」



 心臓と胸部がジュクジュクと再生し、

 また、わずかばかりの生気をとりもどす。


 そこで、モナルッポは、


(あれは……まさか……『闇色天国』か……?)


 拷問向けのスペシャル『闇色天国』。

 『闇色天国のスペシャルホルダー』が拷問をしている間、ターゲットは、自由に死ぬことができない。

 『やりすぎて殺してしまう』というミスを防ぎ、半永久的に拷問しつづけることが可能となる、ヤバいスペシャル。



 ――ちなみに、ヘルズ覇鬼に闇色天国は顕現していない。

 ただ、闇色天国のシステムは応用されている。


 ザンクは、魂魄処理システムと、闇色天国のシステムに介入して、

 モンスターのリポップシステムと連動させつつ、

 『同じ人間から何度も経験値を回収する』というシステムを構築した。

 このバグ技を使ってしまうと、経験値取得率がだいぶ下がってしまうのだが、

 それでも、『そこらの雑魚をちまちま狩り続ける』よりは、遥かに多くの経験値を得られる。


(さっき、殺すと言ったばかりでアレやけれど……レバーさんよぉ……このザンクさんを怒らせておいて、簡単に死ねると思うなよ)



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