34話 復讐するときは徹底的にやるのがザンクさんの流儀。
34話 復讐するときは徹底的にやるのがザンクさんの流儀。
(さて……レバーデインさんよぉ……ザンクさんは、倫理観に縛られとるわけやないから、『人を殺してはいけません』なんて、カケラも思ってへん。もちろん、誰でも彼でも殺すわけやないけど……家族(自分)を殺されたら、当然、殺しかえす。命をナメんなよ、アホんだらぁ)
ザンクの復讐方法は、極めて斬新だった。
カバノンが召喚したヘルズ覇鬼を壊して、レバーデインに襲わせるという、
『邪道の中の邪道』とも呼ぶべき、最高にゲスい方法。
――これが、ザンクの闘い方。
『時間をかけて鍛錬を積んで、真っ向から殴り飛ばす』ような、
そんな、非効率かつ熱血な手法を取る気はさらさらない。
(携帯ドラゴンをバグらせた時と、ほぼ同じ手法で、モンスターを壊すことは可能。カバノンぐらいの存在値やったら、召喚権を切断することも余裕)
などと、ザンクが心の中で思っている間に、
レバーデインの腕が、壊れたヘルズ覇鬼によって食いちぎられた。
「がぁああああああああっっ!」
血しぶきと悲鳴をあげるレバーデイン。
その光景を、ザンクは、冷めた目で睨みつけ、
(銀河の正統なる支配者『田中家の一族』に仇なして、ただで死ねると思うなよ、レバーデイン)
★
誰も止められなかった。
壊れたヘルズ覇鬼は、凶悪な生命力を誇っており、
各国の代表クラスが、全力で排除しようと、攻撃をこころみたが、
壊れたヘルズ覇鬼は、まったきもって、死ぬ気配がなかった。
サーナ王女が、汗だくの顔で、
「と、とんでもない生命力! どれだけダメージをあたえても、すべて自動回復で元に戻ってしまう……っ」
自己治癒能力が高すぎて、火力が間に合っていない。
毎ターン100回復する敵に、毎ターン50のダメージしか与えられていないイメージ。
「お、王級が壊れると、ここまで厄介なのか……っ」
この状況に、一番焦っているのは、やはり、召喚主であるカバノン。
彼は、必死になって、レバーデインが死ぬ前に、どうにかコトをおさめようとしているが、しかし、現在の戦力では、壊れたヘルズ覇鬼を止める手段がない。
(まずい、まずい、まずい……レバーデインが死んでしまえば、さすがに、責任問題から逃げることはできない……)
ただ壊れて暴れただけなら、どうとでも対処できるが、
王族に死者を出してしまうと、さすがに話が違う。
ミルスも、本格的に、カバノンを追及するだろうし、
各国からも自国からも非難されることは明白。
(わ、私は何も悪くないのに……っ! ぐっ!)
実際、カバノンは何も悪くない。
しかし、『責任を取る』というのは、そういうこと。
大事なことは、『誰が悪いか』ではなく、
『どういう結末を用意するか』が最重要。
カバノンは、未来を想い、顔を青くする。
(このままでは、ひきずりおろされる……死ぬ気でつかみ取った、国家主席の地位を……奪われる……ありえない! そんなこと!)
これまでに積み上げてきた苦労を思い出し、
カバノンは、魂を燃やした。