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33話 『遊走性のユニーク』だけが、ザンクの背負っている荷物の全て。


 33話 『遊走性のユニーク』だけが、ザンクの背負っている荷物の全て。


「くぉおっ!」


 持ち前の反射神経で、どうにか、ギリギリ、ヘルズ覇鬼の特攻を回避する。

 レバーデインは、困難を前にしたら、ちゃんと、処理能力が働くタイプの人間だった。

 モナルッポと比べれば劣るが、しかし、彼は、十分に、王族としての資質を有していた。


 とはいえ、レバーデインも人間なので、

 当然、理不尽な災害に対して、大脳辺縁系の感情は過敏に反応するわけで、


「ぉ、おいぃいい! こいつ、なぜか、私だけを狙ってくるぞ! ふざけるなぁあああああ!!」


 体は、しっかりと、目の前の面倒事を処理しているが、

 頭の方では、普通に混乱している。

 いきなり降りかかってきた理不尽に対して怒りが止まらない様子。


 それでも、ギリギリのところで、冷静さを保ち、


「か、カバノン国家主席! 止めることはできないのか!」


 いったんは、カバノンに確認をする。

 多分無理だろうとは思っている。

 壊れたモンスターの対処方法などない。

 壊れてしまえば、もう、ただ暴れるだけ。


 知っているが――いちおう、立場上、聞かなければいけない。


「――わ、私では止められない。言うまでもないが、私が何かをした結果として、壊れたわけではない。これは事故だ。それを忘れないでいただきたい」


 大研究会という、国際的な場所で、このような事故を起こしてしまったことに対して、謝罪を口にするべきかどうか、カバノンは、一瞬のうちでアレコレ悩んだ結果、『謝らない』という選択をとった。


 人間関係的な視点で言えば、反射的に、謝りたくなってしまう場面だが、

 国の代表という立場である以上、そう簡単に謝罪は口にできない。

 謝罪をしてしまえば、損害賠償の責任が明確化してしまう。

 国に不利益を与えることは許されない。

 だから、簡単には頭は下げられない。


 そんな、カバノンの複雑な表情を尻目に、

 この事故の加害者であるワンダーマン――田中・イス・斬九は、


(国の代表と言うしがらみ……重たそうやねぇ。苦しそうやねぇ。わざわざ、そんなダルいもんを背負って生きとるやつの気がしれんわ。押し付けられたんなら『可哀そうやなぁ』と同情するけど、トーンは他薦なしの選挙制やから、お前は、自ら、立候補して、上に立ったってことやろ? アホやわぁ)


 ザンクは権力に興味がない。

 富、名誉、地位、すべて、重荷でしかないと感じている。


(そんなものに縛られとったら、何もできんやないかい)


 ザンクは、自由を尊ぶ。

 『遊走性のユニーク』だけが、ザンクの背負っている荷物の全て。


 だからこそ軽やかに飛べる。

 世界の裏側まで、しがらみなしで駆け抜けることができる。


(さて……レバーデインさんよぉ……ザンクさんは、倫理観に縛られとるわけやないから、『人を殺してはいけません』なんて、カケラも思ってへん。もちろん、誰でも彼でも殺すわけやないけど……家族(自分)を殺されたら、当然、殺しかえす。命をナメんなよ、アホんだらぁ)


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