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25話 はじめて召喚が成功したことに大喜びするアホのモナルッポ様。


 25話 はじめて召喚が成功したことに大喜びするアホのモナルッポ様。


「モナルッポ、お前も何か召喚してみろ。自分にできる最高峰を、各国の代表に見てもらえ」


「了解です、兄上――来い、ワンダーマン」


 そう宣言すると、モナルッポが描いたジオメトリの向こうから、

 『剣を持った青年のようなモンスター』が飛び出してきた。


 ワンダーマンは、星霊種の中級モンスター。

 階級で言えば、アストラルマジシャンの3段階ほど下。

 別に弱いモンスターではないのだが、

 『王族が全力で召喚するようなモンスター』ではない。


 王族ならば、最低でも上級モンスターを召喚してほしいところ。


 ――なのだが、


「おぉお! 兄上、見てくださいよ! 成功しましたよ! うぉ、はっはぁ! はじめて成功したなぁ。マジかぁ……成功するんだなぁ。俺、召喚できるんだなぁ、知らなかったな……いやぁ、よかった、よかった」


 と、誇らしげ、かつ、満足げに、うんうんと頷いているモナルッポを見て、

 各国の代表たちは、苦笑いを浮かべていた。


 モナルッポに召喚を促したトーンのカバノンも、

 さすがに、この光景には度肝を抜かれたようで、

 普通にドン引きしていた。


 そんな最悪の空気を見つめながら、

 レバーデインは、重たい眩暈めまいを感じていた。

 『穴があったら入りたい』と、心の底から思った。


 と、そこで、セファイルのサーナ王女が、モナルッポに、


「王子……今、あなたは、『はじめて成功した』と言っていましたが、ほんとうに、今まで、召喚に成功したことがないのですか?」


「ないっすね。間違って『なんの戦闘能力も持たない人間』を召喚したり、『まったくいうことを聞かない悪魔』が出てきて暴れたり、そんなんばっかりでしたから。ははは」


 ケラケラと笑っているモナルッポを見て、

 サーナは、


(ミルスの第三王子、モナルッポ・スピアーズ・ミルトリス……兄に才能の全てを搾り取られた『出がらし』というウワサは聞いていたが……ここまで酷い落ちこぼれだったとは……)


 モナルッポのダメなウワサは、国の代表クラスであれば、誰でも、一度は耳にしたことがある。

 何一つ取り柄がなく、努力もできず、なのに、それを恥とも思っていない、放蕩王子。

 とにかく残念な国の恥。


 サーナは、今日まで、モナルッポと直接話したことがなかった。

 大きな式典などで、チラ見したことなどはあるし、遠目に会釈をかわしたことなどは、これまでに何度かあったが、直接言葉を交わしたのは今日がはじめて。

 なので、モナルッポが、実際に、どんな人間なのか知らなかった。


 『ウワサには尾ひれがつくもの』と認識しているサーナは、今日まで、『モナルッポのウワサは、過剰に悪く広まっているだけだろう』などと懐疑的に思っていたのだが、しかし、『噂は本当だった』と知り、普通にドン引きしてしまう。


(こんなのが王族とは、国民が可哀そうね……ああ、まあ、でも、大事な仕事は、優秀な兄がすべて担っていて、弟は、兄の邪魔だけはしないように遊んでいるらしいから、民としては、問題はないのかな)



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