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18話 携帯ドラゴンをバグらせていくスタイル。


 18話 携帯ドラゴンをバグらせていくスタイル。


(……これ以上もぐったら、さすがにサーチされそうやな。現実的に考えて、ここらへんが限界……まあ、でも、問題はない。現段階でも、権限の一部に干渉できるようになった。ここまでくれば、十分……)


 ニィと笑う。

 ビッグデータへのアクセス権を得たザンクは、

 サクっと、禁止区域から、『神字を扱うために必要な情報』を盗み見ると、


(……携帯ドラゴン……こいつは、神字を実行するための、量子コンピュータの代わりになれる。こいつを複製できれば、あとはただの作業……)


 頭をフル回転させて、

 オーバーテクノロジーを手中に収めようとする。


(……よし、GISネットワークに接続できた……あとは、ナノ・スピリットを経由して、必要量のヨクトマシンを回収し、5Dモデルで現実化……エグい量の演算が必要やけど、まあ、ザンクさんなら、なんとかなるやろ……」


 システム構築の部分に関して、

 事実、ザンクは、東志に惨敗しているが、

 しかし、『足元にも及ばない』というわけではない。

 この手の作業は、むしろ、超得意な方。

 『東志以外が相手なら、誰にも絶対に負けない』と言い切れるレベルの天才級。


 ゆえに、サクサクと、携帯ドラゴンを構築していくザンク。

 だが、


「ん? なんでや……これで、『携帯ドラゴン(マナの力場を内包した特殊生命体)』を創れるはずやのに、意味不明のエラーが出て、実行でけへん……」


 携帯ドラゴンは、究極のPDA。

 生きていて、しかも、契約者を守ってくれる汎用量子コンピュータ内臓個人情報端末。

 エキゾ単結晶を使用したヨクトマシンの集合体であり、その機能は多岐にわたる。

 3Dオブジェクトの量子データ化による亜空間収納、

 ISAグラフィーによる高性能デジタル解析機能。

 他にも無数の機能が搭載されている、とにかく何でも出来る夢の万能ガジェット。


「なんや、よぉ分からんプロテクトがかかっとる……うっざ……まあ、ええわ……ほな、別の方法で……例えば、そう……あえてバグらせてみるとか、おもろいんとちゃうやろか……」


 ニタっと黒く微笑む。

 『膨らみ続ける想像力』に身をゆだねて、イカれた未来をたぐりよせる。


 あえて、バグらせることで、いったい、どんな問題が起こるのか。

 問題すらも楽しんでいくスタイルの、だいぶ歪んだ男――それが、田中・イス・斬九。

 異端者が多い田中家の中でも、『歪んでいる』と言う点では、歴代最高クラスの変態。


「おっ……できた……」


 再起処理の終了条件と関数に、意図的なミスを仕込むことで、

 ヨクトマシンの一部を綺麗にバグらせて、

 『エラーは起きるが実行はされる』という状態を作り出した結果、


「これは、携帯ドラゴン……ではないわな、さすがに。バグという概念の具現化ってところかな?」


 ザンクの目の前に、『薄羽の生えた、手のひらサイズのサソリみたいなもの』が顕現した。


 その虫は、薄羽をはためかせてホバリングしていたが、

 一度、きょろきょろと周囲を確認してから、

 ザンクの頭上に着地して、


「ギギ……」


 一度、鳴き声をもらしてから、

 スースーと、寝始めてしまった。


「……おいおい、ずいぶんと、かわいいやないかい……」



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