16話 田中家の血族は、みんな、ゴリゴリのキ〇ガイ。
16話 田中家の血族は、みんな、ゴリゴリのキ〇ガイ。
(肉体強度の脆さが問題……その辺の問題を、今、この場で解決するんは、さすがに無理やな。10年ぐらい、筋トレさせてもらえるなら、肉体改造することもできるけど、今日・明日でどうにかするんは無理……となれば、肉体強度も、魔法で補助するしかないな……最善は……機動魔法がええかな……パワードスーツは男のロマンみたいなところもあるし)
田中家は、『合理主義の塊』みたいな家系だが、
しかし、どこかで、変にロマンチストの部分もある。
(魔カードのシステムにも、間違いなく、ウチの家系の誰かが絡んどるな……凄まじく複雑で、七面倒くさい、この陰キャ感……『東志』か? ……うん、たぶん、そうやな。あいつの粘り強さと根性がにじみ出とる……)
『田中東志』は、『ほとんど天才しかいない田中家』のなかでも『頭一つ抜けた同年代連中』の『中』でもさらに際立った超人。
スーパー天才一族田中家の中ですら頭一つ抜けている『天才の中の天才の天才』である。
ザンクは、自分のことを、『別格の天才』だと認識しているし、天才一族『大いなる田中家』の中でも、『最上位に位置する存在である』と自負しているが、
――『東志にだけは勝てない』と確信している。
ただし、『何もかもで負けている』とは思っていない。
(――『システムを構築する』という部分やと、東志には絶対に勝てん。東志は、そっちの方面に特化した天才やからな。……けど、暗号解読・システム解析という点においては、東志よりも、ザンクさんの方が上。ザンクさんは、そっち方面に特化した天才やからな)
田中家の天才性は多種多様。
その方向性は、『頭脳労働系(エンジニア、医師、弁護士、学者)』が基本だが、『肉体労働系(プロスポーツ選手、宇宙飛行士、登山家、格闘家)』や『特殊技能系(プロゲーマー、棋士、芸術家、俳優)』の方で特化している者もいる。
田中東志は、歴代の田中家の中でも、かなりハイスペックな超天才だが、
『ゲームが得意な親戚』に『ゲームで勝つ』のは絶対に不可能。
あくまでも、特化型の天才であり、万能天才ではない。
(丁寧な仕事であればあるほど、解析するのは簡単になる)
『頭とコントロールのいい投手』の方が、配球を読みやすい。
ザンクは、信じられない速度で、魔カードを、解析しつくしていく。
その結果、
(基盤に、特殊言語が使われとるな……)
深掘りしていった結果、ソレが『神字』と呼ばれている、特殊なプログラム言語であることを理解するザンク。
(おそろしく複雑で、ごっちゃごちゃしたプログラム言語やな……これを創ったんは、東志やない気がする……あいつなら、もっとスマートかつ、シンプルにするはず……)
世界の裏側を解析しつつ、
神字の取得に精を出す。
(……ん……見えてきた……)
神字の複雑さは常軌を逸している。
『神』と呼ばれている高次生命体であっても、
神字を完璧に理解している者はいない。
どうにか、一部だけを理解し、その可能性の一端を享受する――それが、神字の限界。
だが、そんな常識など、ザンクには通じない。