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24話 一日一回、ナイトメアソウルゲートをかかさない人生。


 24話 一日一回、ナイトメアソウルゲートをかかさない人生。



「まだ……だ……まだ……終わってねぇ」



「終わってないだけ、だけどね」


(ぐ……うっ……諦めねぇぞ……89億だろうが……1兆だろうが……『倒さねぇと、シューリが死ぬ』というのなら……折れるわけにはいかねぇんだよ……)


 とめどない殺気を放ちつつ、

 頭の中で、


(考えろ……どうする……どうすればいい……)


 と、必死になって、折れずに、『どうすれば、この絶望的状況を打開できるか』と考えていると、


 ――そこで、




『時間だ、センエース。今日の分のナイトメアゲートが開くぞ』




 そんな声が、頭の中で響いた。

 その直後、疑問符を抱く間もなく、

 センは、


 ――ゲートの中へと引きずり込まれてしまった。


 親の顔より見た光景。

 頭おかしくなるほど慣れ親しんだナイトメアソウルゲートに戻ってきたセンは、


「……え……どういうこと……?」


 と、ようやく疑問符を口にする。

 すると、そこで、また声が聞こえた。


『一度でもナイトメアゲートを使った者は、その後、一生、一日一回はナイトメアゲートで一億年の修行をしなければ死ぬ』


「……一日……一回……一生……え、うそだろ? 一生は……うそだよな? な?」


『嘘だったら楽だったな』


「……解除とか……できない……のか……?」


『シューリ・スピリット・アース・ソルウィングが絶命すれば、ナイトメアソウルゲートは永遠に閉じる』


「……は? なんだ、それ……ふざけんな……そ……それ以外の方法を教えろ……それは……それだけは許容できない……」


 問いかけるが、

 答えはかえってこなかった。


 もはや、何も聞こえない。

 いつもの静かなナイトメアソウルゲート。


 ……だから、仕方なく、


「ぐっ……と、とにかく……まずは……」


 そこで、センは、『上半身だけになった自分』を両腕だけで引きずって、治療ルームへと向かう。


 治療ルームに辿り着くと、

 カプセルの中に入り、スイッチを押す。


「……う……はぁ……はぁあ……」


 体が高速で回復していく。

 失ってしまった『ヘソから下』のすべてが、しっかりと再生される。

 この装置は何度も利用しているので、システムは熟知している。


 数分で完全回復すると、

 センはカプセルから出て、


「……ふぅぅ……あ、あぶなかった……あと、もうちょっと遅れていたら、死んでた……あぶねぇ」


 いったん、安堵してから、

 センは、現状を整理しようとする。


 ナイトメアソウルゲートが言っていた内容を、頭の中で反芻はんすうして、


「……てか、俺、マジで、シューリが死なない限り、今後、一日一回……ここにくるの? ……え、じゃあ、仮に、1兆の敵を倒せたとしたら……その後、ずっと、死ぬまで永遠に……毎日……1億年……? え、うそだよね……」


 想像してクラっとした。


「これは……『1兆の敵』と、ぜがひでも相討ちしといた方がいい気がするなぁ……もし、生き残っても、どっかで灰になって死ぬだけだわ……」


 ソウルゲートは、心が折れない限り永遠に使えるシステムなのだが、

 『心が折れてしまう』と、『灰になって死んでしまう』というリスクがある。


 ちなみに、『ナイトメアソウルゲートから解放されたい』から『シューリを殺そう』という思考には、一ミリたりともならなかった。

 それが、セン的には、ちょっとだけ誇らしかったりもした。


「……ん、まあ、ともかく、また、ここにこられたのは、正直、僥倖ぎょうこうだった。『1兆の敵』がくるのは明後日……敵の来る時間・タイミングにもよるが、今回ふくめて、最大3回、3億年は修行ができる計算……それだけあれば……可能性を示せる」


 そこで、センは、


「まずはアイテムを鍛えなおすところから」


 さっそく、アイテムクラフトルームに突撃する。



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― 新着の感想 ―
絶体絶命かと思いきや、まさかの強制送還! しかもそこにはさらに過酷な運命が待ち受けているとは。 でも、それを『僥倖(ぎょうこう)』と捉え、 すぐにアイテムクラフトに向かう、 センの行動力と前向きさに、…
[良い点] ソウルゲートを使用しているセン君の強さのインフレは止まらない。 [気になる点] そこで、センは、『上半身だけになった自分』を両腕だけで引きずって、治療ルームへと向かう。 治療ルームに辿…
[一言]  親の顔より見た光景。  頭おかしくなるほど慣れ親しんだナイトメアソウルゲートに戻ってきたセンは、 初めて、「親の顔より見た光景」が文字通りの意味で 通っているのを見たかもしれないw カル…
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