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14話 キセキの世代。


 14話 キセキの世代。


(……システムの『根本的な全体像』を描いたんが『ウチの家系の人間ではない』と仮定したらどうやろう。ほかに誰か、主軸となる存在がおって……ここでは、まあ、『神』としておこうか。ウチの家系の誰かさんは、その神の、サポート要員として、この世界に転移・転生した……と、かんがえたら、まだ、つじつまはあいそうかな?)


 この世界の真相を、サクっと解き明かしている間も、

 ザンクは、実験を続けていた。


 その結果、



(――はい、バックドア見っけぇ!)



 『可能性の扉』を見つけて、

 ザンクは、にぎりしめた拳を天に突き出す。


(つくるよなぁ。当然。何か、不測の事態が起きた時のために、システムの一部に、抜け穴を、一応、つくっとくよなぁ。くく……もう、間違いないわ。この用心深さ、臆病さ、慎重さ。バックドアの作り方にも、ウチの家系の特徴が出まくっとる……絶対に、親戚の誰かや)


 ザンクは確信する。

 この確信は、あくまで、感覚の話であって、

 推理・考察という、丁寧な視点での話ではない。

 だから、証拠はいらない。

 ――感覚的に、『間違いなくそうだ』と勝手に思っただけの話。


(……誰やろうなぁ……知っとるヤツやったらおもろいんやけどなぁ……『玲南れいな』、『吾雲あぐも』、『奈楽ならく』、『星桜せら』、『裏介うらすけ』、『東志とうし』あたりが絡んできとったら、おもろいんやけどなぁ……やっぱ、知らん親戚より、知っとる連中に絡んできてほしいよなぁ)


 親戚の顔を思い出しながら、心の中で、ケラケラと笑うザンク。

 基本的に、親戚付き合いが希薄な田中家だが、

 ザンクは、比較的、親族に対する興味が強い方で、

 『近場に住んでいる同年代の親戚』の名前と顔ぐらいは普通に把握している。


 さすがに、玲南や東志の『親の名前』までは把握していないが、

 彼らが、どの辺に住んでいるかぐらいなら、ギリギリ、認識している。


 ちなみに、最年少プロ棋士となり、すでに名人位を獲得している『田中吾雲たなかぐも』の家には、たびたび押しかけて、一緒に将棋・チェス・囲碁などとゲームで遊んだりもしている。

 そんなことをする『田中』は、ザンクぐらいのものである。


(――大穴で、『時雨しぐれ』って可能性もあるかな? ……いや、ないな。あいつ、アホやし……田中家のツラ汚しやし)


 同じ血を継いでいる親戚は、だいたい、みんな、異常レベルの天才で、

 特に、ザンクと同年代の親戚は、全員、頭一つ抜けたスペックを持つのだが、

 その中で、唯一、『時雨』だけは、別格に無能だった。

 もちろん、普通に『地元で一番偏差値の高い進学校』には通っているが、

 驚くべきことに、彼女は、主席ではないのである。


 田中家の人間は、『親戚が同じ学校の同じ学年にいる』という例外状態でない限り、ほぼ確実に、ぶっちぎりの主席になるし、『同年代の親族』がいない限り、全国模試でも余裕で一位をとる。

 なのに、時雨は、間違いなく『田中家の血族』でありながら、

 『中の上』ぐらいの成績でしかなかった。


 裏介のように、明らかに、『調整している』というわけではなく、

 ただただ、『純粋に知性レベルが劣っている親戚』というのは、

 数多く存在する『田中家の血筋』の中でも、彼女ぐらいのものである。


(……よし……だいたいのシステムは理解した……)


 親戚の顔を思い出している間も、

 ザンクは、ひたすら、解析を続けていた。


 無数の思考を並列に展開させながら、

 それぞれで、超高度な演算を超高速で繰り返す。



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