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13話 ザンクは、魔法という概念そのものを掌握していく。


 13話 ザンクは、魔法という概念そのものを掌握していく。


「しゃーないから、ザンクさんが、補完したる。この場で、実験して確かめたろやないか」


 ザンクは、おぼえたての魔法を高度にこねくりまわしながら、いくつかの実験を同時に行っていく。

 ここまでくると、モナルッポでも、何をしているのか、さっぱり分からなかった。


(こいつは、何をしているんだ? 大仰なことをしてみせているだけのハッタリ? そうであったなら、なんの問題もないが……しかし、もし、こいつがやっていることが、本当に、魔法の未来を切り開くものだとしたら……)


 気づけば、モナルッポはワクワクしていた。

 ザンクの可能性に、脳が震えはじめている。


「……んー……見えてきた……突き詰めれば、魔法も、アリア・ギアスのシステムが基盤になっとる。原始的な元素の制約と誓約。『相生そうせい』『相克そうかつ』『比和ひわ』『相乗そうじょう』『相侮そうぶ』――関係性のプログラム。現象の再現性は、ナノ・スピリットによって統括されとる。空間と時間に対して絶対性を付与する観念……すさまじく小さいが、おそろしく高密度のEマナを帯びた『ナノ・スピリットの核』のまわりを、コクーロイオンを帯びた非対称の魔素が回っとる……循環率を阻害する制約……これは、明らかに、誰かの誓約……」


 ザンクは、解き明かしていく。

 魔法という概念の根底。


(……この、バカみたいに細かな計算式……非常に『馴染み深い』、この感じ……もしかして、この魔法体系は、『ウチの家系』の誰かが創ったんちゃうかな……)


 だんだんと、シルエットが見えてくると、

 そんな疑問が浮かび上がってきた。


(この世界に、虚理システムを導入したヤツが……かりに、マジで、ウチの親戚やったとしたら……だいぶ、オモロいな)


 かなりぶっ飛んだ思考ではあるが、

 しかし、『絶対にありえない話ではない』と思った。


 魔法のシステムを深掘りすればするほど、

 身内の手垢にまみれているようにしか思えなくなってくるのだ。


(もし、そうやったと仮定して、なんで、そんなことになったんかを考えてみよう。ありえる線で推察すると……おそらく、親戚の誰かが、ザンクさんと同じように、この世界に、転移か転生した……そして、この世界のシステムに関わる何かしらにアクセスすることに成功した。ウチの家系の人間なら、まあ、できんことはないやろう。そしてこの世界に魔法という概念……虚理を埋め込んだ。……問題は、その理由。なんで、そんなことをした? この『虚理』という概念では、絶対に、科学を超えられん。うちの家系の人間やったら、むしろ、科学を推奨するはず……)


 ここに関しては、理屈どうこうではない。

 野球選手に、なぜ、サッカーではなく野球を選んだのかと聞くようなもの。

 そこに『理屈の通った意味』などあるはずがないのだ。


(……システムの『根本的な全体像』を描いたんが『ウチの家系の人間ではない』と過程したらどうやろう。ほかに誰か、主軸となる存在がおって……ここでは、まあ、『神』としておこうか。ウチの家系の誰かさんは、その神の、サポート要員として、この世界に転移・転生した……と、かんがえたら、まだ、つじつまはあいそうかな?)


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