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6話 ザンクさんは利用価値があるから、殺すのはもったいないですよ。


 6話 ザンクさんは利用価値があるから、殺すのはもったいないですよ。


「まあ、お前のミスなど、どうでもいい。それより、明日の『大研究会』の準備は終わっているのか? これまでは、おまえのズボラにも目をつぶってきたが、いくらなんでも、大研究会に欠席するというのは許さないぞ」


 大研究会は、年に一度、各国の重鎮を呼んで、盛大に、各々の研究結果を論じ合う学会。


「ちょうど、明日の大研究会では、各国の召喚技術について討論しあう予定だ。しっかりと、皆の話を聞いて、今度はまともに召喚できるようにしろ」


 そこで、レバーデインは、ザンクに視線を向けて、


「しかし……それにしても、また、とんでもなく酷いゴミを召喚したものだ。魔力もオーラも虫ケラ並みじゃないか。おまけに、際立ったスペシャルなども持っていない様子……はぁ……身内が、こんなゴミを召喚したなど、物笑いの種だ。まったく、私に恥をかかせるのも、いい加減にしろ」


「不出来な弟で、悪いね、兄上。ま、でも、そこは、自分の不運を呪ってよ」


「……はぁああああああ」


 これみよがしの、深いため息をついてから、


「他の誰かにバレる前に、さっさと処分しろ」


「そ、それが、『元の場所』に帰すこともできないんだ」


「……はぁ? 何を言っているんだ、お前。召喚獣は、リンクを切れば帰せるだろうが……そんなことすら知らんのか。どれだけ、無能なんだ」


「あ、いや、リンクを切ろうとしているんだけど、切れなくて――」


 そう言いながら、何度か、指をパチンと鳴らしてみせるモナルッポ。

 そんな彼を横目に、レバーデインは、タメ息をついて、


「……『無能だ』『クズだ』と思っていたが……召喚獣を帰還させることすら出来ないゴミだとは思っていなかった……」


 しんどそうに、タメ息をついてから、


「もういい。殺しておけ。その方がはやい」


「いや、兄上、それは――」


 と、難色を示すモナルッポに、

 レバーデインは、


「ゴミの処理すら出来ないというのか? じゃあ、お前は、なんなら出来るんだ。私に尻ぬぐいばかりさせおって」


 怒りをあらわにしながら、そうつぶやくと、

 レバーデインは、殺意をもって、ザンクに、右手を向ける。


 『殺される』と認識したザンクは、


「いやいやいやいや! ちょぉ待てぇや! それは、さすがに、カジュアルなバイオレンスが過ぎるやろ!」


 さすがに、軽く焦って、


「そんな、心配せんでも、弟さんの役に立ったるから。このザンクさんのとんでもない資質があれば、弟さんに、世界を獲らせることも不可能やないで。このザンクさんが保証するから間違いない」


「やかましいゴミだな……弱い犬ほどよく吠える」


「吠えてんのとちゃう。プレゼンしてんねん。ビジネスの場では、黙っとるやつの方が弱者やねんで。そらそうやろ。どんだけ、ええ商品やったとしても、その良さを理解してもらえんかったら、契約なんかしてもらえんのやから。ザンクさんは、非常に優れた商品や。これは、うまいこと扱ったほうがええ。利用せんままに殺すとかもってのほか――」



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