表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

224/1228

90話 王としての資質。


 90話 王としての資質。


(強力な装備品を生成した方が得か……それとも、最大値を求めて、強力な召喚獣を呼ぶか……)


 無限に沸き上がってくる『メリットとデメリット』を精査した上で、


「――ランダム召喚……が最適解か?」


 モナルッポは、最終的に、一つの結論を出した。


(もし、『単騎で、バーチャを抑えることができるぐらいの化け物』を召喚できれば……)


 それだけの化け物を召喚できる可能性は、正直言って低い。

 しかし、やるだけの価値はある。

 やらざるをえないぐらい追い詰められている、と言ってもいい。


「よし……やるか」


 決断すると、まずは、

 これまでにため込んできた『魔カード強化用』のアイテムをフル投入して、

 ランク25の魔カードを、全力で磨き上げていく。

 決してミスらないよう、丁寧に、慎重に、


「俺の魔力も、大量にぶち込んで……」


 できれば、数年や数十年という単位で、魔力を注ぎ込んで強化したいところだが、

 現状を考えると、悠長なことはしていられない。


「よし……できた……完成したぞ……ランク28の魔カード。いや、しかし……すごいな……むちゃくちゃだ……これ一枚で、国が余裕で買える……」


 この破格の魔カードを使ってしまうことに対して、

 一瞬、『もったいなさ』を感じた。


 今後、これほどの至宝を手にする機会があるだろうか、と考えてしまう。

 モナルッポも、王族の一人。

 だから、『至宝』の『正確な価値』が理解できる。

 単純な欲望を度外視しても、『真摯なもったいなさ』が沸き上がる。

 これほどの国宝を保有しているというだけでも、国の品格は上がる。

 ――そんな、諸々のステータス関係を、一瞬のうちに、色々と考えてしまった。

 しかし、


「鉄火場で必要なのは、コレクションではなく兵器だ」


 と、すぐさま『当たり前の視点』でモノを考えていくモナルッポ。

 『王としての価値観』ではなく、『人として当たり前の価値観・倫理観』で世界を見通す。

 これが出来ない王族は多い。

 彼の兄妹であるレバーデインやラフィでは、これだけの即断即決は不可能。

 この点だけで見ても、モナルッポの王としての資質の高さがうかがえる。


 ドーキガン・ザナルキアが、王の役目を、モナルッポに任せようとしたのは、責任放棄などではなく、モナルッポの『王としての資質』を正確に見抜いたから。

 殴り合いなら間違いなくドーキガン・ザナルキアの方が上だが、王としての資質は、ドーキガン・ザナルキアよりも、モナルッポ・スピアーズ・ミルトリスの方が、確かに上なのである。


「――さぁ、きてくれ」


 もう、モナルッポは迷わない。



「――頼むから……人類の希望となる化け物……頼む……頼む!」



 願いを込めて、

 モナルッポは、人類史上最高のランダム召喚に挑む。


 ランクだけで言えば『これ以上の召喚』は、歴史上、ありえなかっただろう。

 この破格の召喚で、いったい、何が出てくるのか。

 期待と不安の中で、モナルッポは、結果を待った。


 ――願いの中、歪なジオメトリが、空間に描かれる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ