表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

222/1228

88話 モナ兄様は、ほんとうにクソカスですわね。


 88話 モナ兄様は、ほんとうにクソカスですわね。


 『御前試合の間に収集した情報』を、

 キッツから伝えられたモナルッポは、

 渋い顔で、


「聖主に関しては、やはり、何も分からないままか……」


「本当に存在するのか怪しいレベルです」


「徹底的な情報統制をおこなっているのか……それとも存在しないのか……まあ、いい。そこに関しては、ここからジックリと調査していこう」


 簡単に『対面会議』を終えると、

 モナルッポは、いったん、キッツに、『聖主に関する情報収集』を任せ、

 自分は、一度、都市から離れて、人目のつかない森の中へと入っていった。


 すでに夜になっており、あたりはすでに真っ暗だが、

 『暗視』の魔法を高ランクで使用できるモナルッポにとって、

 闇夜も昼間も大差ない。


 ある程度、森の中を歩き、

 周囲に人の気配がまったくないところまで来ると、

 モナルッポは、擬態の魔法をといてから、

 国宝の一つである『帰還の魔石』を使って、

 ミルスの王城へと戻る。


 ――王城内の中庭に瞬間移動したところ、


「モナ兄様、どこに行っていたのですか?」


 中庭のベンチに腰かけていた『二つ下の妹』であるラフィに見つかって、声をかけられた。

 その声音には軽蔑の色がベッタリと張り付いている。

 ラフィは、昔から、『軽薄で怠惰で無能なモナルッポ』を、心の底から軽蔑している。


「ま、どうせ、遊んでいたんでしょうけど」


 そこで、ラフィは、隣に腰かけているレバーデインに視線を向けて、


「ねぇ、レバー兄様、モナ兄様を叱ってあげてください。モナ兄様は、誰かに言われないと、己の愚かさに気づけない人ですから」


 レバーデインは、ラフィに言われたからではなく、ただただ純粋な怒りにまかせ、


「モナルッポ、ふらふらと遊び回るのはやめろと何度言えばわかる」


 さげすんだ目で、そう言ってきた。

 続けて、ラフィも、


放蕩者ほうとうものの兄をもって、私、恥ずかしいですわ。レバー兄様を少しはみならってください。レバー兄様は、今日も、朝から、大研究会の資料作りに没頭していたのですよ」


「はいはいはいはい、わかったわかったわかった」


 『頭からっぽの笑顔』と『豪速の早口』でそう言うと、

 『まだ皮肉を言い足りない』という顔をしている妹の追撃を許さない速度で、

 自室へと逃げ去っていった。


 そんなモナルッポの背中を見て、

 ラフィは、侮蔑の表情で、


「ほかは何も出来ないのに、めんどうごとから逃げる能力だけは人一倍ですわね」


 と、とことん見下した口調でそう言う。

 レバーデインが、


「本当に、あいつの逃げ足は一級品だ。昔から思っていたのだが、俊敏性だけで言えば、おそらく、あいつの方が私よりも上だろう」


 その言葉を聞いたラフィが、ぶふっ、と噴き出して、


「面白いジョークです、レバー兄様。実際のところ、モナ兄様が、レバー兄様に勝っている部分など皆無でしょう。知っています? モナ兄様の存在値って、私が10歳の時の存在値より下なんですよ。もう、笑ってしまいますわよね。もし、私が、モナ兄様だったら、とっくの昔に自殺していると思いますわ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ