78話 『ショデヒ』VS『モナルッポ』。
78話 『ショデヒ』VS『モナルッポ』。
「……うむ、なるほど。ガイリュー将軍に勝っただけのことはある。お前は強い」
「どうも」
「将来的には、お前も、ガイリュー将軍と肩を並べて、将軍の地位についているかもしれないな」
「だといいですね」
などと、簡素なやりとりを経て、
モナルッポは、天を仰ぎ、
(サーバンと同程度の力を持つ豪族が五人……ガイリューと同程度の力を持つ将軍が4人……そして、その上に、エルメス、バーチャ、聖主……強大な組織だ……層が厚い……)
心の中で、聖龍王軍の厚みを数えつつ、
(それと比べて、人類側の層は、正直、かなり薄い……俺達『三柱』をのぞけば、武で名をはせているのは、セファイルのサーナ王女と、トーンのカバノンぐらい……セアのプッチは、そこそこ頭がいいが、武はカスみたいなもの。あとは、フーマーの使徒連中がどの程度の力を持つか……あいつらは、うまく力を隠しているから、いまいち、底力がよく分からない……10人の使徒が、全員、レバーデインぐらいの強さであってくれれば、どうにか、対抗できなくもないが……)
他の国は、そこそこオープンだが、フーマーだけは秘密主義で陰気くさい。
できれば、フーマーの連中とは距離をとっていたいが、
こうなってくると、さすがに、そうも言っていられない。
★
――準決勝の相手はショデヒだった。
外交官としての彼しか知らないモナルッポ。
狡猾で、邪悪で、腹黒いということしか知らなかったため、
これまでは、ショデヒのことを『卑怯な小技使い』と勝手に想像していたが、
今回の闘いで、モナルッポは、ショデヒを見直すことになる。
「おやおや、ガイリューがバカで愚かで鈍重だから、詰め切れなかっただけかと思っていましたが……思ったよりも、やるじゃないですか。『神器がなければただの雑魚』だというのは事実ですが……しかし、神器があれば、使えるコマの一つになりえるのもまた事実。覚えておきますよ、新参者のポール」
もちろん、ショデヒは、ガイリューや、サーバンのような前陣タイプではなかった。
見た目通りの『搦め手』を多投するトリッキー型。
しかし、搦め手しか使えないわけではない。
得意な『搦め手』を活かすための『限定的な接近戦』もマスターしている、なかなかの武人。
魔法戦、肉弾戦、空中戦、なんでもありのオールラウンダー寄りで、
『どちらかといえば魔法が得意』な中距離アタッカーと言った感じ。
(単純に強い。この圧力は本物。……どうやら、ショデヒも、それなりに、『真正面からの死線』をくぐってきているようだな……)
ショデヒが、狡猾で卑怯で残忍で邪悪なのは事実だが、ガイリューやザラキエリと、本気の殺気をぶつけあってきた歴史を持つ本物の強者の一人。
『神器で身を固めた今のショデヒ』がその気になれば、
素のモナルッポを相手にしても、
一矢報いることが出来るだけの力がある。
四魔将と五華族が、『何でもありの死闘』をした場合、
生き残る確率が最も高いのはショデヒ。