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75話 俺がいて良かったな、世界。


 75話 俺がいて良かったな、世界。


 ここまでに得た情報すべてが破格。

 まさに、超越者と呼ぶにふさわしい背景の数々。


(とんでもない魔力量と武力、魔カードの生成技能にアイテムマスターとしての技能、破格の知性と、上位モンスターを陶酔させる統率力……)


 魔法やアイテムクラフトに関して、それなりの知識を持っていると自負していたが、しかし、これまでに得た情報からかんがみるに、聖主とやらが有しているスキルは、モナルッポの限界を遥かに超えている。


(……ちっ)


 無意味な劣等感に包まれつつも、

 モナルッポは、


「展開」


 と、呪文を唱えた。

 すると、モナルッポは、ガイリューのソレよりも質の高い装備品に包まれる。


(……ち、力が……沸き上がる……無限に……っ)


 無限に感じたのは、強烈な万能感からくる『ただの錯覚』だが、

 しかし、膨大な力が湧き上がってきているのは事実。


 もともと、存在値783という、とんでもない数値を誇るモナルッポ。

 そんな彼が、ハンパじゃない神器に身を包んだ結果、


(存在値999……私は……究極の領域に届いた……っ……)


 壁の前に立ったモナルッポ。

 ここから先は、自力で超えない限り、装備品の力を借りても超えられない。


(今の私なら……単騎でも、聖龍王国の軍を壊滅させることも可能……っ)


 と、一瞬、豪快にうぬぼれたものの、しかし、


(いや、落ち着け……)


 全能感に支配されそうになる血気盛んな心を、鋼の魂で抑えつけて、


(エルメスが同じアイテムを持っていた場合、同じようにカンストしている可能性が高い……聖主や側近バーチャが、エルメスより強いというのが事実なら、3人がカンストしているということになる……)


 ここで、ようやく、現状のヤバさを痛感するモナルッポ。


(俺がいてよかった……ドーキガンとゾメガだけでは、数の不利で押し込まれていた……)


 人類には、ドーキガンとゾメガだけではなく、モナルッポもいる。

 おかげで、どうにか、聖龍王国ともわたりあえる。

 ――そんなギリギリの認識に、モナルッポは、いちど安堵してから、責任感の重さに押しつぶされそうにもなる。


(……これほどの至宝と比べれば弱いが、ミルス王国にも、究極の至宝は存在する。国宝で身を固めれば、存在値800以上にはなれる。それだけあれば、カンスト相手でも抵抗することは不可能じゃない。そして、それは、ドーキガンやゾメガも同じ……)


 モナルッポは理解していない。

 800と999の間にある絶望的な差。


 いや、理解していないのではなく、本能が、正確な理解を拒んでいるのかもしれない。


(いや、さすがに、国宝だけでは弱いか……天才である俺の力が必要だ。聖主とやらに、実際出来たことならば、俺でも再現することは可能なはず……俺がその気になれば、俺とドーキガンとゾメガをカンストさせる装備品もつくれる。なんだったら、ランク20の魔カードだってつくれる。そうだ、俺は天才なんだから)


 夢見がちな理想論で武装しはじめるモナルッポ。

 言うまでもないが、今のモナルッポは混乱している。


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