74話 聖主様は、いと尊き御方……
74話 聖主様は、いと尊き御方……
ガイリュー自体の存在値は400前後だが、
装飾品も含めた存在値で言うと、700前後。
(こいつは……話に聞くところ、幹部の一人にすぎない……なのに、なぜ、こんな至宝とも呼べる装備品に身を包んでいる……どうなっている?)
配下連中の装備品も見事だったが、
ガイリューが身に纏っているソレは次元が違った。
一つ一つが、ミルス王国が誇る『最大の至宝』を超えている。
「俺の装備品を見て驚いているようだな。その気持ちは分かる。俺も、最初に、この装備品を与えられた時は驚いたものだ」
「あたえられた? ……だれに……?」
「聖主様。俺たちの一番上にいる御方だ。あの御方は素晴らしい。武人として強大な力を持ち、強大な魔カードを作成する能力を持ち、強大な武具を作成することもできる。その上、すさまじい知性を持つ。何もかも完璧な、まさに理想の王」
「……聖主……」
新しい王が、聖主と呼ばれていることだけは調べがついている。
(高次の魔カードだけではなく、至宝クラスの武具をも生み出すことができると言うのか……しかも、ガイリューの話によれば、武人としても優れているという……そ、そんな化け物みたいなヤツが、この国の新しい王……)
ギリリと奥歯をかみしめる。
敵が強大すぎて、さすがに身震いしてきた。
(こうなってくると……下手をしたら、ドーキガン以上の力を持つと言う可能性も……い、いや、さすがに、それはありえないだろう……この世にドーキガン以上の力を持つ者など存在するわけがない……そんなものはいてはいけない……)
モナルッポの『中』では、ドーキガンが、『最も高い場所』にいる。
それは、本当の意味での『はるかなる高み』である。
絶対的な目標であり、永遠に届かないゴール。
――そうあり続けて欲しいと願っている、ゆらいではいけない頂点。
モナルッポは認めないが、しかし、心の奥底では、
ドーキガンに対して、強い敬愛を抱いている。
一言で言えば、大ファンなのである。
モナルッポにとって『最推しのアイドル』――それが、ドーキガン・ザナルキア。
モナルッポ本人は、絶対に認めないが、しかし、それが、モナルッポの真実。
――と、そこで、審判の一人が、モナルッポに近づいてきて、
「新参者のポール。お前には、特別な装備品が支給される。そうでなければ、神器で身を固めている幹部連中の相手はできないからな」
そう言いながら、
『指輪』を支給してくる。
「その指輪には、装備品一式が登録されている。装着して、『展開』と口にすれば、それだけで全身を神器で固めることができる」
(装備品一式を、指輪に登録しておく魔法……それだけでも、とんでもない魔力だと推定できる……『聖主』とやらの底が見えない……知れば知るだけ大きくなっていく……)
ここまでに得た情報すべてが破格。
まさに、超越者と呼ぶにふさわしい背景の数々。
(とんでもない魔力量と武力、魔カードの生成技能にアイテムマスターとしての技能、破格の知性と、上位モンスターを陶酔させる統率力……)