64話 ランク20魔カードは何枚ある?
64話 ランク20魔カードは何枚ある?
「モナ様、ショデヒ殿が言っていることに間違いはありません。確かに、ランク20の魔カードともなれば、それだけの価値はあるかと。むしろ、900万は、そうとう安いと思いますよ」
「え、マジで? いや、さすがに嘘だろ。魔カード一枚に900万だぞ。普通に高すぎるだろ。常識的に考えて」
そこで、ショデヒが、
「つまり、この魔カードは、常識を凌駕した逸品ということですよ、殿下。これを一枚所有しているだけでも、殿下の格は底上げされることでしょう」
「格が底上げ? マジでか? 兄貴の上にいける? って、さすがにそれは無理か」
などとバカを見せつつ、心の中で、
(仮に俺が、フェイクではなく、ガチで存在値200のカスだったとしても……この魔カードさえあれば、やり方次第で、レバーデインに並ぶことも可能。それだけの価値が、この魔カードにはある)
などと考えていると、
ショデヒは、ニッコリと微笑んで、
「レバーデイン殿下の上に立つことも不可能ではありませんよ」
「ウソつけよ。兄貴はすげぇんだぞ。ナメんなよ」
「では、試してみますか?」
「あ?」
そこで、ショデヒは、懐から取り出した一枚の魔カードを破り、
「限定空間ランク20」
モナルッポと、キッツを、特別な空間魔法にご招待する。
「お、お、お前! 空間魔法を使うとは! なんのつもりだ! キッツ、いるな?! キッツ、何があっても俺を守れ!」
と、慌てふためいてみせるモナルッポ。
そんな小物の演技をしつつ、心の中では、
(随分と質の高い空間魔法……これほどの魔法が『誰でも使える』というのは相当な脅威。そんな、極悪なスペックの魔カードを、これだけ簡単に使ってきたということは、おそらく、聖龍王国に存在するランク20魔カードの枚数は10枚以上は確実……この場で使ってみせた行為が、ハッタリである可能性もゼロではないが、もし、数十枚のランク20魔カードを、兵器として戦争で的確に利用された場合、下手したら、国が亡ぶ……)
至極冷静に、ランク20魔カードの脅威について考察していた。
ショデヒは、
「ご安心を、殿下。危害を加える気は毛頭ありません」
「ほ、本当だろうな……お前も、結局は、モンスターだから、信用はできないんだよ」
「もちろん、承知しております」
そう言いながら、ショデヒは、
さらに、もう一枚、魔カードを破り、
「炎霊召喚ランク20」
存在値500級の炎霊ファイア・オールスピリットをその場に呼び寄せる。
ごうごうと、燃え盛るオーラに包まれた精霊種の超王級。
「お、お、お前ぇえ! そんな化け物を召喚してどうするつもりだぁあ!」
また慌てふためく姿を見せつつも、モナルッポは、心の中で、
(こいつ……ランク20の魔カードを、ポンポンと簡単に使うじゃねぇか……まさか、本当に、量産体制が整っている? とんでもない話だ……こうなってくると、問題なのは、どのぐらいのペースで生産できるのか……もし、仮に、一週間に1枚ほどのペースで生産できるとすると……いや、さすがにそれはないか……)