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56話 ミルス王国の第三王子。


 56話 ミルス王国の第三王子。


「っっ?! なっ……ランク20の魔カード?! こ、これ……全部……っ?!」


 『魔力を持たない者でも魔法が使える』という超便利アイテムであるがゆえに、上限も当然低いのだが、Tが取り出したデッキは、その制限を完全にシカトしていた。


「この程度のランクの魔カードなら、いくらでも量産できる」


 そう言いながら、Tは、アイテムボックスから、

 ランク20の魔カード50枚入りデッキを、ポンポンと取り出して、ショデヒに向かって放り投げる。


「こいつを使って、色々と面白いことをやっていく予定。世界を混乱させて、躍らせて、その流れの中で、世界を征服していく」


 このランク20の魔カードは、まだ『キラ化』されていない。

 つまり、まだ、ここからさらに鍛え上げることが可能ということ。


 ランク20以上の攻撃魔法は、軍を壊滅させることも可能な極大魔法。

 そんなものを量産できるとなれば、世界の戦争模様は大きく変動する。

 エネルギー産業も大きく変動するだろう。

 金の動きも活発になる。

 技術的な面での発達も目覚ましくなるだろう。


 この魔カードが大量に流通するようになれば、世界は大きく変わっていく。

 そんな世界のうねりの中心になれば、おのずと、敵も増えるだろう。


「さてと、ほな、さっそく動いていこか。最初のターゲットはミルス王国」






 ★






 ミルス王国は、王族の王族による王族のための国である。

 王族が『すべての権限』を独占し、国民は『王族を潤すため』だけに存在している。

 もちろん、表立って、そんな『正直なこと』を発表したりしない。


 王族は、国民に対し、適度に食料と娯楽を与え、

 射幸心と希望を煽りつつ、『勝ち組になるための競争』を推奨することで、

 『反乱』の芽を上手に刈り取っている。


 ミルトリス王家に生まれる者は、『高スペックで強欲で自己中心的』というのが相場。

 程度の差はあれど、基本的には、そういう人間しか生まれない。

 人間性は基本最悪だが、性能だけは高く、

 民衆をコントロールする術にもたけているため、

 革命や暴動などが起こることはなく、

 なんだかんだ、平和な国として、そこそこ繁栄している。


 ミルス王国が、小国ながらも、それなりに繁栄できているのは、

 非情で冷酷で人間性が薄いながらも、しかし、間違いなく、

 『王族のスペックが高い』から。


 ミルス王国の基盤・主軸・骨格は、

 王族の性能にかかっている。


 なんだかんだ王族が有能だから、

 この国は、どうにか、やっていけている。


 そのことを、誰よりも理解しているのは王族連中。

 自分たちが甘い汁を吸い続けるためには、

 自分たちが『優れた存在』であり続ける必要がある、

 そう考えて、実は、裏で、かなりの努力を積んでいる。


 ――なのだが、



「モナルッポ……貴様、また研究会をサボったな……いい加減にしろ……」


 ブチ切れ顔で弟を叱る兄。


 そんな兄に対し、ミルス王国の第三王子『モナルッポ・スピアーズ・ミルトリス』は、


「しかたないではありませんか、兄上。俺は生まれつき病弱で、今日も今朝から、持病の胸痛が酷く、ずっと、血を吐いておったのですから」



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