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50話 豪華な目覚まし。


 50話 豪華な目覚まし。


(……ただ力を振りかざしていただけのガキ……自分より強者が現れれば、みっともなくおろおろするだけの弱者……こんなものは、神ではない……神を名乗る資格がない……)


 ショデヒは、他者を無条件で愛するということがない。

 『利用できるか否か』と『不愉快かそうでないか』。

 基本的には、この二つの基準でしか他者を見ない。


 先ほどまでのショデヒにとって、バーチャは、

 『利用できる』し『ソリも合う』という、

 なかなか最高の上司だった。


 今も、『思想』という部分で言えば、シンパシーを感じているし、

 その『尋常じゃない力』は『十分利用価値がある』と思っている。


 ――だが、そういった打算以外の『感情』の部分で、

 ショデヒは、バーチャを軽蔑してしまった。


 『現実逃避』は『もっとも愚かしい悪手』の一つ。

 逃げれば逃げた分だけ、現状は悪くなる。

 その程度のことは、神でなくとも、あるていどさとい者であれば、全員知っている。

 当然、ショデヒも、その真理を理解している。


(……バーチャはダメだ……これの下についていても未来はない)


 ハッキリと、サクっと、一瞬でバーチャを見限ると、

 ショデヒは、Tの方に視線を送る。


(しかし……アレは、どういう人間だ? 聖龍王を秒殺できるバーチャの拳を、触れただけで爆散することができる人間……そんなものがいるわけがない……ドーキガン・ザナルキアでも、ぜったいに不可能)


 色々と、頭の中で、『Tの正体』に迫る可能性を模索してみたが、

 しかし、どれだけ考えてみても、真相にカスることもなかった。


 ショデヒが、バーチャを見限り、Tの真相を思案している間、


 Tは、とうとうと、


「センエースと命のぶつかり合いをしておきながら、何も学ばんかった愚者、バーチャ・ルカーノ・ロッキィ。お前は、相当なアホやけど、『特別扱いを受けた超神』なんは事実やから、使い道は、そこそこある。とりあえず、ワシの道具として働いてもらう」


「はやく、目覚めろ。もういい。長い。いつまで、夢を見ている。夢を見るのはもう飽きた」


 Tの発言をシカトして、

 とにかく、目を覚ますことだけに集中しているバーチャ。


 Tは、一度、鬱陶しそうに溜息をついてから、


「起きるん、手伝ったるわ」


 そう吐き捨てるように言ってから、

 バーチャの頭を掴んで、


「がっはぁあああああっっ!!」


 地面にたたきつけた。

 顔面が砕けたが、

 しかし、Tは、そんなことお構いなしとばかりに、


「夢やから痛くないやろ?」


 と、冷淡な言葉をそえつつ、

 10回ほど、バーチャの顔面を地面にたたきつけてから、


「――『神の慈悲』――」


 回復魔法で、バーチャの体を完璧に癒すと、

 続けて、


「はい、ドーン、ドーン、ドーン」


 また、バーチャの頭を地面にたたきつけて、顔面を丁寧に砕いていく。


 バーチャは、ずっと悲鳴をあげているが、


「痛くない、痛くない。だって、夢やもーん」


 Tは、無情に、冷酷に、

 何度も、何度も、何度も、バーチャの顔を砕いていく。



「も……もう、やめ……」



 降参を口にしたバーチャに、Tは言う。


「あかんよ、ダメダメ。だって、まだ、目が覚めてないもん。この悪夢から、さっさとおきたいやろ? 手助けしたるから、もっと頑張れ」



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