表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

183/1228

49話 なんだ、夢オチか。あー、よかった、よかった。


 49話 なんだ、夢オチか。あー、よかった、よかった。


「すべてが夢か! そうだ! はは! なんだ、びっくりした! ……む、しかし、そうなると、私は、まだ超神になれていないということか……くっ……それだけは残念だが、しかし、夢から覚めたあと、また努力を積んで、いつか本当に超神へと届けばいい。そうだ! それだけの話だ!」


 こうして、バーチャは、現実から逃げ出す。


 『努力に対する根性』の方は、それなりに高スペックなのだが、

 『絶望に対する勇気』の方は、経験値が少ないため低スペック。


「そろそろ目覚めろ。もう、いい加減、長すぎる。いったい、どれだけ長く寝ているのだ、私は。まったく。はやく、起きて、鍛錬を開始しろ」


 などとぶつぶつ、自分に言い聞かせながら、

 頭を振ったり、目を強く閉じたり、開けたり……

 そんな、極上の『滑稽さ』を振りまいている彼に、

 Tは、たんたんと、『自分の言いたいこと』だけを続ける。


「――『才能があるやつ』の中でも、『かなり上位』におることは間違いない。けど、『ガチムチ天才』の中に混ざると、かすんでしまう程度の、ハンパな秀才。それが、お前や、バーチャ・ルカーノ・ロッキィ」


 だいぶ腹の立つことを言われているが、

 しかし、バーチャは、すでに、現状を『夢だ』と断定してしまっているため、

 もはや、Tの発言に対して、何かしらの感情を見せることはない。


「夢は願望と妄想の鏡……私の願望は……超神になること……それはいいのだが……なぜ、私は、センエースの夢をみた? まさか、私が、敗北を望んでいるとでも? いや、ありえない。私は勝利以外を忌避きひしている。敗北など、なんの糧にもならない。なぜならば、敗北によって得られるものは、勝利によって得られるものよりも少ないから」


 持論を展開していくバーチャ。

 そうやって、自分自身を慰めていく。


 ――そうやって、『バーチャ・ルカーノ・ロッキィを許容してくれない世界』を拒絶していく。


「まさか、予知夢? 悪夢の予知夢とは……おだやかじゃない。もしかしたら、将来的に、センエースという名の神が台頭してくるのやもしれん……それは、ダメだ……許容できない……いまのうちに、鍛錬を積み、センエースをたやすく排斥できるようにしておかなければ。うむ。となれば、やはり、いつまでも寝ているわけにはいかない。私よ……いい加減、おきろ」


 と、自分自身に命令していく。


 ――その滑稽な様を見て、

 先ほどまで、彼に心酔していたショデヒは、

 青い顔をして、


(な、なんだ……この脆い生き物は……)


 と、普通に呆れていた。

 ショデヒは、『強者』しか許容しない。

 『ショデヒが愛する強者』の『定義』は複数あるが、

 『メンタルの強さ』も、当然、定義の中には入ってきている。


 その点で言えば、バーチャは、


(……ただ力を振りかざしていただけのガキ……自分より強者が現れれば、みっともなくおろおろするだけの弱者……こんなものは、神ではない……神を名乗る資格がない……)


 ショデヒは、他者を無条件で愛するということがない。

 『利用できるか否か』と『不愉快かそうでないか』。

 基本的には、この二つの基準でしか他者を見ない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ