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47話 練度の足りていない神気は醜い。


 47話 練度の足りていない神気は醜い。


「存在値500億……そう、それが私だ。震えるだろう? この世界で強者と言われている者どもの『1億倍強い』のが私だ」


 その言葉を受けて、ショデヒが、一瞬だけ、クラっとよろめく。


(1億倍? 500億? 本気で言っているのか? ……なんだ、そのガキの冗談のような数字は……え、ほんとに? さ、さすがに、そんなわけ……)


 ショデヒ以外の面々も、一様にザワザワしている。

 何が何だか分からないという混乱の中心で、

 バーチャは、


「――この私を正確に見通した、その尋常ならざる目に敬意を表し、私の力の一端を見せてやろう」


 そう言いながら、胸の前で、三つの左手を並べて、祈りのポーズをとる。

 ポーズはそうだが、決して、祈っているのではない。

 バーチャは自分以外の神を信じていない。

 だから、これは、心を整えているだけ。



「――神化――」



 最初のギアをいれる。

 全身が荘厳な神気でつつまれる。


「どうだ? 尊いだろう?」


 その問いかけに、

 Tは、


「ははっ……」


 と、一度鼻で笑ってから、


「……『練度の足りてない神化』を尊いとは思わんなぁ……」


 Tのゆるぎない態度を見て、

 バーチャは、心の中で、


(……私の神化を前にして、魂魄がわずかも揺るがない……まさか、こいつ……い、いや、そんなわけがない……仮に……そう、仮に、こいつが、私や『あいつ』のように、現世で神化が出来る特異体質なのだとしても、超神化までは絶対にできない。超神になれるのは、この世で私だけの特権)


 一瞬だけあわてたものの、

 しかし、すぐに『自分の中の常識』を取り戻すと、

 尊大な態度をわずかも崩さず、


「……口の減らないガキだ。だが、面白い。特別に見せてやろう。命の最果て。真なる高み。これが……命の答え……」


 言葉を並べながら、

 バーチャは、自分の中へと没頭していく。

 深く、深く、深く、沈んでいって、そして、






「――超神化――」






 今のバーチャにできる最高峰のギアをいれる。

 神を超えた神。

 ただの神では決してたどり着けない本物の高み。


 その神々しい様を見て、

 ショデヒは、その場で漏らしてしまった。

 恐怖もあったが、何よりも興奮が突き抜けてしまった。

 感動であふれている。

 『バーチャの数字』は、よく分からないが、

 しかし、この輝きを前にすれば、

 さすがに、その尊さがどれほどのものかぐらいは理解できた。


 先ほどの、神化の段階でも、すでに、心を破壊されたようなものだったのだが、

 超神化を魅せつけられたことで、心が新たな領域に昇華された気がした。


(う……美しい……)


 心が再開発されていく。

 まるで、生まれ変わったよう。

 バーチャに出会えてよかったと、心の底から思った。


 そんな、ショデヒの恍惚の視線を背中に感じながら、

 バーチャは、うたいあげるように、


「……数字だけでは伝えられない命の輝き……どうだ……美しいだろう? 真に、神を超えた神の姿……貴様の目に、私はどう映る? 神を前にした貴様は、今、なにを想う?」


 この高みを前にすれば、

 さすがに、もう、やせ我慢は通せないだろう。

 そう思っての問いかけだったのだが……


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