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41話 バーチャ・ルカーノ・ロッキィの哲学。


 41話 バーチャ・ルカーノ・ロッキィの哲学。


「同じか。まあ、仮に、同じだったとしよう。それは、つまり、おたがいが、お互いにとって、ゆずれない意見を持っているということ。ならば、当然、戦争になるわけだが、その戦争に、貴様は勝てるか?」


「……」



「どちらの意見が正しいかを社会的に結論づける手段は、結局のところ、暴力による戦争しかない。それは命の歴史が証明している。それが良い事か否かすらも、実のところは、暴力による戦争でしか結論付けることはできない。それが、この世界の現実だ。それに関して反論はあるかね?」


「……」


「ここで一つ聞こうか。貴様は、貴様の我を通すために、どれだけ努力をした? 主張を持つのは結構だ。持論はいくら持っていてもかまわない。局所的な正義を胸に抱くのも結構。すべて個人の自由だ。だが、それを、社会的な基準で押し通そうとするのであれば、それだけの力が必要だ。正義だ悪だと、個人の勝手な基準でわめき散らすのは害悪な迷惑行動でしかない。――私は私の信念を信じている。だからこそ、信念を通すために、この世の誰よりも必死になって、狂気的な努力を積んできた。私の意見が正しいか否かは知ったことではない。だが、私は、私を通すために出来ることをやってきた。貴様はどうだ? 私以上に積んできたといえるか?」


「……」


「ここで一つ、議論の方向性を変えてみよう。――仮に、貴様の言い分が正解だったとしようか。あくまでも仮の話だが、貴様の理想が、この世界の正解だったとして、しかし、今、貴様は、努力不足のせいで、その『正解の我』を通せずにいる。……その状況を鑑みた場合、『貴様こそがもっとも罪深い』と、私は結論づける。その結論に至った私の考えは、間違っているか? 間違っていると指摘するのであれば、根拠を述べよ」


「……」


「私を悪だと言い切るのは結構。弱者にとって強者は悪だ。そう言い捨てることで、弱さという罪を犯した自分を守ることができるからな。しかし、『過程だけ』に注視した場合はどうだろうか。『強者』とは、積み重ねた者。弱者とはなまけた者。比べた時、どちらの方が悪だ? 正義や悪を基準にものを言うのであれば、そういう一つ一つに、結論を出していかなければフェアじゃない」


「……」


「こたえろ。なまけたものと、積み重ねたもの。正義はどちらにある? 大義はどちらにある?」


「それは、たんなる生き方の話だ。正義や悪でくくれるものではない」


「悪か正義かという、0か100の話を持ち出してきたのはそっちだ。ならば、応える義務があろう? 特定の状況や心情に対してのみ悪や正義というくくりを持ってくるのは、あまりにも卑怯な行動だと思わないかね? 私の視点での悪とは、そういう『覚悟と品性のたりない、薄っぺらで卑怯な行為』をさす」


 バーチャは、決してゆるがない。

 クズで、カスで、愚かで、下劣だが、

 しかし、その『ゆるぎない信念』だけは本物。


 ――だから、超神になれた。



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