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38話 これが、世界の正しい姿。


 38話 これが、世界の正しい姿。


「神になれてよかったな。神の力を現世で使えてよかったな。ああ、よかった、よかった。しかし、無意味なんだよ。なぜか。ここには私がいるからだ。神を超えた神。超神バーチャ・ルカーノ・ロッキィ。その高みを、正式に教えてやる」


 そう言いながら、バーチャは、エルメスになぐりかかった。

 神気を込めた拳で、エルメスの顔面を砕きにかかる。


 反射的に、エルメスは、バーチャの攻撃を回避した。

 見えている。

 先ほどとは違い、バーチャの動きを追うことが出来ている。

 けれど、『ギリギリ見える』というのが限界。


「フェイントには対応できるようになったな。よかったじゃないか」


 そう言いながら、バーチャは、本命の『第二左拳』をエルメスの腹部に叩き込む。


「ぐぶふぅ!」


「神になれて僥倖……そう思いたいところだろうが、しかし、それは早計。神になった貴様は、より明確に、私の高みを理解できるようになっただけ」


 そう言いながら、バーチャは、エルメスをボコボコにしていく。

 血を吐き散らかすエルメスに、バーチャは、


「重たいだろう? これが超神の拳だ。言っておくが、今は遊んでいるだけだぞ。その気になれば、神になったばかりの小神など、一撃で消し炭にすることも可能。こんな風になぁあ!」


 重たい神気を第三左拳に込めて、

 エルメスの右腕を殴りつけ、爆散させるバーチャ。


「ぐぎゃあぁっ!」


 悲鳴をあげるエルメスに、


「両手両足を吹っ飛ばしたあと、心臓と顔面に叩き込んでやるよ。超神の力を思い知れ」


 きもちよくボッコボコにしていくバーチャ。

 抵抗できず、グチャグチャになっていくエルメスを見て、

 バーチャは、恍惚の表情を浮かべ、


「ああ、これだ。これが正しい姿だ。選ばれた存在である私が、私以外の全てを、おもうがままに蹂躙する。どれだけの高みにある存在であろうと、私の前では等しく無意味……そう、これだ。これが正解だ。『あの閃光』だけが間違いだった」


 ズタボロにされて、その場に倒れこむエルメスを踏みつけて、


「これだ! これが正しい! こうならないといけない! あいつも!」


 ギリギリと奥歯をかみしめながら、


(センエース……忌々しいクソガキ……貴様も、こいつと同じ目に合わせてやる……必ずだ……この屈辱をそのままにはしない……貴様が、私に殺されるその日まで、私の憎しみは終わらない……)


 三つの拳を強く握りしめる。

 あまりに強く握りしめてしまい、自身の爪で、手のひらの皮膚を切ってしまう。

 血があふれたが、そんなことは知ったことじゃない。


 と、そこで、

 ショデヒが、


「すばらしい!」


 力の限り、目一杯の拍手をしながら、


「神を超えた神。超神バーチャ・ルカーノ・ロッキィ様。あなた様は、まことに素晴らしい。聖龍王エルメスを赤子あつかいできる、その無上なる力! その尊き高みこそ、私が求めていた頂点!」


 ショデヒからの『まっすぐな称賛』を受けて、

 普通に自尊心が満たされたバーチャは、


「アホばかりではなく、それなりに理解力のある者もいるようだ。貴様、名前は?」



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