表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

168/1228

34話 『すべてを滅ぼす魔』が封じられている箱。


 34話 『すべてを滅ぼす魔』が封じられている箱。


「私には、この箱を管理するという役目もある。人間やモンスターと遊んでいるわけにはいかない」


「あなた様ほどの超越者が、そんな『見た目がイカついだけの、特に何でもない箱』に縛られて、おもてだった行動ができずにいるなど……なんと、もったいない話なのでしょう」


「……『何でもない箱』ではない。この中には、『すべてを滅ぼす魔』が潜んでいる」


「確かに、邪悪な気配を放ってはおりますが……これまで、ずっと、何も起こらなかったではないですか。『定期的に化け物が這い出てくる』――とかなら、まだ話も分かるのですが……本当に、ずっと、ずっと、ずっと、何ひとつ起こらないではないですか。ハッキリ言いますけれど、それは、ただの箱ですよ。四六時中はりついて管理する必要などないと思われます」


「これまで出てこなかったからといって、明日も出てこないとは限らない。明日どころか、今日出てくる可能性だって――」


 と、エルメスが、そこまで言った時点で、


 『まがまがしい箱』が、カタっと揺れた。


 この場にいる全員の背筋に緊張が走る。

 これまで、うんともすんとも言わなかった箱が、

 突如、動き出したら、誰だって、動揺するだろう。


「まさ……か……本当に……今日……」


 エルメスが、みけんにシワをよせながら、そうつぶやく。

 玉座から降りて、箱から距離をとる。


 エルメスの動きに合わせるように、

 この場にいる配下たちも、箱から距離をとった。


「全員、迎撃態勢をとれ。……何が出てくるか知らんが、私に匹敵する化け物である可能性は大いにありえる。……その場合、私一人で倒すのは困難を極めるだろうが……この日のために、強者である貴様らを集めておいたのだ。存分に、力を示せ」


 エルメスの命令を受けて、その場にいる全員が、勢いよく返事をする。

 もともと、そういう契約なので、誰も反発する者などいない。


 ――と、その直後、

 謎の箱は、

 ガタァァンッ!

 と、豪快な音をたてて、勢いよく開かれた。


 そして、その中から、


「……ぷはぁ……」


 水面から顔を出したかのように、

 深い呼吸をしながら、

 その男は、箱の中から這い出てきた。


 翼の生えたイバラの冠。

 左腕は三本で、右腕はない。

 顔は小さく、けれど、背は非常に高い、10頭身ボディ。

 見た感じ、非常に細身なのだが、しかし、実のところ、かなり筋肉質。


 その男は、何度か、深呼吸をしてから、

 ギラつく視線で周囲を確認しつつ、


(ここは……第二アルファ? いや、違う……コードがまったく違う。というか、私は、『あいつの異次元砲』で死んだはずでは……まさか、蘇生した? いや、この感じは違うな……ちっ……記憶に妙な制限がかかっている……あいまいにしか思い出せない……鬱陶しい……なんだ、これは……)


 心の中で、ボソボソと、


(まあいい……それよりも……ここは、どこだ……こんなコードの世界は知らんぞ……どこかの神が新しく創った世界か? ……いや、新興の世界にしては、命の循環率が、妙に高い……)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ