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28話 ○×ゲームを知っとるか?


 28話 ○×ゲームを知っとるか?


「どうか、おゆるしを……主よ……どうか……」


 神に対して、どのような言葉遣いや礼節が正解なのか、

 そんなことは分からない。

 なので、龍は、自分の中での最大限の礼儀でもって、Tに接する。


 地に降りて、頭を、地にこすりつけて、


「神の威光に気づけなかった、そんな愚かな私に、どうかご慈悲を――」


「別にええけど、その代わり、配下になってもらうで。この世界を征服するための手ゴマが欲しいから」


「……こ、光栄なお話です。ただ、主よ……あなた様は、この世界を創造した神なのでしょう? ならば、征服などしなくとも、最初から、すべて、あなた様のものなのでは?」


「○×ゲームを知っとるか?」


「……は?」


「知らんわな。そういう知識を与えたわけではないし。というわけで、ほい、これがルール」


 そう言いながら、Tが指をパチンと鳴らすと、

 龍の頭に、○×ゲームの概要がインストールされた。

 脳に記憶をぶちこまれたのは初めての経験だったので、かなり驚いたが、神なら何でもありなのだろうと思い、


「な、なるほど……こういうゲームですか。シンプルですね……それで、その○×ゲームがどうしたのでしょう?」


 そこで、Tは、その辺に落ちていた棒キレを拾って、

 地面に、○×ゲームのバトルフィールドとなる9つのマス目をえがき、


「このマスの中に、マルとバツを交互に書いていって、縦かナナメに三つそろえたら勝ちというルールのゲーム。この『ルール』と『ここに描かれたマス目』は、ワシが創造した。ま、厳密にいうと、マルバツゲームの考案者はワシやないけど、まあ、それはええとして」


 ごほんとセキを一つはさんで、


「ここまでが、『世界を創る』ということや。理解できるか?」


「な、なるほど……つまり……この先を一人でやっても、何も面白くない。相手のリアクションがあって、はじめてゲームはゲームとして成立する……と? そういうことでしょうか?」


「ええ理解力やないか。悪くないで」


「こ、光栄です」


「ワシはここから、この世界に存在するすべての命に対して世界征服という名のデスゲームをしかける。ただ、ワシがルール無視で『全力の本気』を出したら、一瞬で、全部崩壊してまう。こんな感じで」


 そう言いながら、Tは、地面にえがいた9マスを、足でザザっと消して、


「これの何がおもろいねんって話。せっかく創ったゲームを自分で台無しにするんはアホの諸行。ワシはそんな狂人やない。だから、ルールは守る。ワシが本気だせば、この世界は、マルバツゲームのマス目と同じく、秒で消滅してまう。けど、それはせん。かつ、ちゃんと、ワシが敗北するルールも用意しとる。これは、ゲーム。ワシが勝つか、それとも負けるか。そういうゲーム」


「……この世界を秒で消滅させることも可能な神が負けるなどありえるのでしょうか?」


「普通に考えたらありえん。けど、この世界には一人、『どんなありえない絶望も覆せる可能性を持ったヒーロー』がおる。せやから、ワシが負ける可能性はゼロやない」



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