表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/1228

16話 世界中の美女をかきあつめてハーレムをつくる夢。


 16話 世界中の美女をかきあつめてハーレムをつくる夢。


「あんた、バカなんでちゅか?」


「賢くはないが、バカではないつもりだ。一応な。……いや、もしかしたら、バカかもしれない。少なくとも、絶対に賢くはないな」


 などと、『ファントムトーク(中身のない言葉で世界をケムにまくトーク術)』でお茶を濁すセンに、


「あんたが『ケタ違いに強い』ってのは、さっきの『アダムとのアレコレ』で、なんとなくわかりまちたよ。存在値17万という話も、あながち嘘じゃないのかもしれまちぇんね。けど、それが事実だったとしたら、むしろ、オイちゃんには自殺させるべきじゃないでちゅか? 合理的に考えて」


「お前が言う合理的ってのは、アレか? お前を死なせておけば、自動的に『1兆の敵』がいなくなって、『17万の俺』の天下になるっていう」


「分かっているじゃないでちゅか。あんたの強さがあれば、何でも自由にできるじゃないでちゅか。おっぱい触るどころじゃなく、世界中の女をかきあつめてハーレムすることだって余裕でちゅよ。……その欲望は、オイちゃんが死ねば、間違いなく叶う。今、ここで、あんたが『絶対にしなければいけないコト』は、むしろ、オイちゃんを殺して、1兆の敵を封印すること。それだけじゃないでちゅか?」


 シューリの『合理的な正論』を受けて、

 センは心の中で、


(まさにその通りだな。それが正解だ。――わざわざ無理して『1兆の敵』とたたかおうとするのは、ただの馬鹿)


 と、自分自身を鼻で笑う。


(でも、バカでいい……お前が死ぬのを黙って見ているくらいなら、お前を守るために、『1兆の敵』に挑む方がいい……)


 そんな『自分の想い』を伝えるべきか、と、センは一瞬だけ悩んだ。

 しかし、



(……どんな言葉を使っても……この想いを伝えることなんか、できるわけがねぇ……)



 センは自嘲する。

 『言葉の不完全さ』を鼻で笑う。


 ――生まれてからずっと地獄だった。

 誰も助けてくれなかった。

 どこにいってもゴミ扱い。

 ……そんな中、たった一人、手を差し伸べてくれた。


(愛されないのは別にいい。孤独も、むしろ心地いい。……ただ……)


 ――あの日、初めて会った日、

 『シューリ』が、『センの父であるバースディ・カルマ』を脅した直後のこと。




『……あり……がとう……』

『感謝されるようなことは何もしてまちぇんけど、もし、オイちゃんに、何かを返したいなら、言葉ではなく、行動で示してくだちゃい。言葉なんて、1テスの足しにもなりまちぇんからね』

『……』

『そうでちゅね、例えば……世界一のヒーローになって、オイちゃんのピンチを救いにくる、とか。そのぐらいのことをして、初めて、意味のある行動になりまちゅ。それが出来ないなら、何もしなくて結構。そもそも、オイちゃんは、あんたに何もしていまちぇんち』




(……いま思えば、あれは、シューリなりの悲鳴だったんだろう。……生まれた時から『生贄になって死ぬのが決まっている』という人生。それを受け入れるしかない『変なプライド』を持って生まれた者の静かな慟哭どうこく……『最初から死ぬのが決まっていた人生』と言う点で、シューリは、俺に、自分を重ねたのかもしれない……)


 うがった見方かもしれない。

 けど、


(誰も助けてくれなかった……そんな中、どんな理由であれ、とにかく、お前だけは、手を差し伸べてくれた……それが嬉しかった……ほんとうにうれしかった……)


 だから、

 同じことをしてあげたいと思ったんだ……


「――さっき言っただろ。やりたいことは全部やるって。俺には、とりあえず『これだけは絶対に叶える』と決めた夢が二つある。一つは、世界一の美女とイチャイチャすること。あと一つは、最強のヒーローになること」


 苦しくて、辛くて、どうしようもないときに、

 ヒーローとして、手を差し伸べてあげたかった。


 『本当にうれしかったんだ』ということを伝えるのは、

 ――それしかないと思ったんだ。



読んでいただき、ありがとうございます!

「面白かった」「続きが気になる」と少しでも思っていただけたなら幸いです。

「ブックマーク」と、「下の☆☆☆☆☆を★★★★★にすると言う形での評価」をしていただけると、すごく嬉しいです(*´▽`*)


応援していただけた分だけ、頑張れますので、

なにとぞ、よろしくおねがいします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 力を求めるのではなくヒーローになるんですね。 ここからどう俺はヒーローじゃないに繋がるか。 今回の関係は酒神と才藤に似てるのか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ