表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

159/1228

26話 私の存在値は53万です。


 26話 私の存在値は53万です。


 自分のことを『圧倒的強者である』と信じて疑わない親衛隊ドラゴンは、愚かな侵入者を完璧に氷漬けにしようとブレスを放った――が、その愚かな侵入者は、すずしげなかおで、にたにたと笑っているばかり。


 ――その侵入者は、


「まあ、存在値400のブレスやと、こんなもんやろうな」


 鼻で笑ってから、



「ちなみに言うとくと、ワシの基礎存在値は53万や。おどれんとこの大将である聖龍王の、ザっと750倍ぐらい強いんが、このワシ――『T・104』や。よろしくのう」



「な……なにを、愚かしいことを――」


 『氷に対する強い耐性を持っているのだろう』と判断したドラゴンは、

 物理攻撃で攻めようと、両腕にオーラを込めた。


 龍は、繁殖能力以外の『全て』において完璧な種族。

 パワー、スピード、魔力、タフネス、知性、すべてにおいて最高クラス。


 さらには、自身の力に酔うだけではなく。

 『アイテムを有効活用する能力』も高スペック。


「――私は、自身に付与された魔カードの効果を高めるというスペシャルを保有している」


 と、暴露のアリア・ギアスを積みつつ、

 アイテムボックスから取り出した魔カードを破りながら、


「拳気ランク12」


 宣言することで、龍の拳に、膨大な魔力とオーラが込められる。


 徹底的に拳を高めてから、

 龍は天高く飛翔した。

 そして、突撃。


 この飛翔からの突撃も、『アホの突貫』ではなく、計算された破格の一撃。


 そんな龍の『とびっきりの一撃』を、Tは、ソっと、片手で受け止める。



「――っっっ???!!!!」



 それは、もはや、蚊を受け止めるぐらいのユルさだった。

 龍の突撃に対して、Tは、何も感じていない。


「感謝せぇよ。そっちの体が壊れんように、衝撃を吸収した上で、受け止めたったんやから」


 呑気な口調で、そんなことを言うTに、

 龍は、


「……っ……っ……ぁ……っ」


 呆然とすることしか出来なかった。

 龍は知性が高い。

 だから、理解できてしまった。

 ブレスも物理もきかない相手。

 自分の全力を鼻歌交じりの片手で受け止めきれる異常者。


 目の前にいる存在が、自分を遥かに超越した化け物である、

 と、その高い知性が、答えを導き出した。



「――ひぃっ!」



 理解が届くと同時、龍は、反射的に悲鳴をあげた。

 心が叫びたがっていた。


「ば、ばかな……勇者ですら、そんなマネは……」


 賢いからこそ、色々な思考が頭の中をめぐる。

 人間の中で最強の存在は、勇者ドーキガン・ザナルキア。

 彼の存在値は異常な領域にあり、その気になれば、聖龍王親衛隊を皆殺しにすることも不可能ではないだろう。


 だが、そんなドーキガン・ザナルキアでも、

 龍の突撃を、片手で受け止めるということは、さすがに厳しい。

 オーラと魔力をひねりあげて、それなりの全力を出せば、ピクリとも動かず、龍の一撃を受け止めるということも可能だが、しかし、さすがに、こんな、まったくの素の状態で、龍の一撃を、蚊のように受け止めるのは不可能。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ