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25話 人間の支配領域にもモンスターの国は存在する。


 25話 人間の支配領域にもモンスターの国は存在する。


 センが、魔物の世界である『南大陸』でごちゃごちゃしている時、

 『T・104』は、『人間の世界』である『北大陸』で目をさました。



「……ん……問題なく同期完了……」



 肉体の状態を軽く確かめてから、

 Tは、立ち上がり、周囲を観察して、


「……時間と場所も……ズレはなし」


 場所は、北大陸の北方、

 深い森の中。



 Tが、軽いストレッチで、関節の可動域を確かめていると、

 そこで、上空に、




「――そこの貴様……人間か?」




 冷気を纏うドラゴンが現れて、

 ホバリングしながら、Tを見下ろし、


「ここは、『聖龍王』陛下の支配地域である。人間の立ち入りは許可されていない。知らなかったとは言わせないぞ」


「もちろん、知っとるよ。ワシはそこそこ物知りやからな」


 北大陸の北方にある『深い森』は、

 『聖龍王の支配地域である』と人間の国家からも認められており、

 全ての国家と、『不可侵の条約』が結ばれている。


 北大陸は人間の世界だが、大陸全てを、人間が完璧に支配しているわけではない。

 森や山などの深部では、モンスターが支配している領域も存在する。


 聖龍王が支配する聖龍王国は、龍や鬼や悪魔などの上位進化種や高位魔人が主軸となっている国。

 

 ――『上位のモンスター』は、非常に強力な存在だが、数が少ない。

 聖龍王国は、王と幹部の力はピカイチだが、兵隊の数が少ないため、

 人間の国家と全力でやり合った場合、普通に聖龍王国側が負ける可能性もある。

 だから、聖龍王国は、森の中でおとなしく静かに暮らしている。


 ちなみに、『戦争した際に敗北する可能性』は、人類側にもある。

 もし、人間が、北方の森を支配しようと侵攻した場合、人間側が、かなりの痛手をくらうのは間違いない。

 へたしたら、共倒れになる可能性もある。


 ゆえに、人間の国家と聖龍王国は、昔から、ずっと、

 『おたがい、関わらないようにしよう』と不可侵条約を結んできた。


「物知りな人間よ。それでは、いったい、そこで、何をしている。返答しだいでは、この場で氷漬けにする」


 そう言いながら、アイスブレスの準備をする巨大ドラゴン。

 Tは、そんな氷龍に、


「ワシの目標は世界征服。とあえず、この『北方の森』を支配して、世界征服の足掛かりにさせてもらう」


「気の狂った侵入者よ。その愚かな挑発を受け流せるほど、私が『人間に対して寛容ではない』と知れ」


 そう言いながら、凍てつくブレスを吐くドラゴン。


 存在値200以下の人間であれば、秒で凍ってしまう、強大な力。


 このドラゴンは、『聖龍王親衛隊』の一匹であり、

 存在値は400前後と、とんでもなく高い。


 人間の世界で、『聖龍王親衛隊』に『タイマンで勝てる』のは、

 史上最強の勇者ドーキガン・ザナルキアぐらい。


 自分のことを『圧倒的強者である』と信じて疑わない親衛隊ドラゴンは、

 愚かな侵入者を完璧に氷漬けにしようとブレスを放った――が、


「っ?!」


 その愚かな侵入者は、

 すずしげなかおで、にたにたと笑っているばかり。



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