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24話 罰をあたえることの意味。


 24話 罰をあたえることの意味。


「奴隷の態度じゃないな。言っておくが、今後、反抗的な態度を取ったら、女の方に罰を受けてもらうからな」


「あ? 罰をあたえるなら、俺に直接――」


「ダメだ。信念を持っているヤツは罰にも脅しにも屈さないから。罰ってのは『受けたくない』という前提がなければ成り立たない。『上等だ、かかってこいや』のスタンスのやつに罰など無意味」


「……」


「最初にハッキリと言っておくが、俺はバカじゃない。賢くはないが、なんも考えてないワケじゃねぇ。『元ゴブリンだから、簡単に出し抜けるだろう』と甘く見ているのであれば、本当の『痛い目』にあってもらう。あっちの女――ラーバが生きていられるか否かは、お前の態度しだいだ。お前が、俺に対して、ふざけた態度をとっている間、ラーバは気が気がじゃないだろうな。死の恐怖心をずっと抱かせたいのであれば、自由な態度でいればいい」


「……ぐっ……」


 『クソ野郎が』と言いかけて、リグは口をつむいだ。

 『課される罰』が、もし、『リグが殴られる』というものであったら、

 リグは、ここで、間違いなく、センに対してツバを吐いていただろう。

 何度、ボコボコにされようと、関係なく、牙をむき続けていただろう。


 しかし、『ラーバの命がかかっている』となると、

 さすがに、自由なワガママは通せない。


(……くそ、くそ、くそ……殺してやる、殺してやる、殺してやる……いつか、ぜったいに、この手で、殺してやる……っ)


 心の中で、何度も、呪詛を吐き捨ててから、


「……奴隷に……させてください……おねがいします……慈悲を……ください……」


 しぼりだすような声で、そう言った。


「そこまで言うなら仕方がない。特別だぞ。このラッキーボーイめ」


「……ギチッ」


 顔がゆがみ、口元がゆがみ、声もゆがんだ。

 それだけの怒りを抱えていながら、しかし、表には出せない。


 そんなリグに、ラーバがかけより、

 リグのそでをつかみながら、


「……ありがとう」


 と、小さな声で、つぶやいた。

 リグは、彼女の方を見向きもせず、


「……なにが、ありがとうだ……俺が何をした……何もできなかったから……こんなことになってんだろうが……」


 全身を、ワナワナと震わせながら、

 くやしさ全開で、そう言った。


 リグ&ラーバとの奴隷契約が終わったところで、

 センは、ようやくミシャと向き合う。


「ミシャ、何か、体に、異常とかないか?」


「ええ何も……ていうか、私よりも、そっちでしょう。大丈夫なの? ……いえ、大丈夫なわけがない……大丈夫なわけがない……のに……なんで、そんな、へっちゃらみたいな顔が出来るの? さっきまでは、苦しそうにしていたのに……なんで、今は、そんな……」


「ああ。だいぶ慣れてきたからな。この程度の痛みや絶望なら、最初から『1体分』を飼っていて、慣れているから、そこまで困りはしない」


 『アダムの業』で慣れているので、『ミシャの業』とも、

 比較的簡単に適合することができた。


 ミシャの業を取り入れたばかりの時は、最初にタバコを吸う時みたいに、むせてしまったが、しかし、慣れてしまえば、もう、こっちのもの。


「……苦しく……ないの?」


「普通の人間だったら、のたうちまわっているだろうが……俺は、頭おかしいからな。平気なわけじゃないが、やせがまんぐらいは出来る」


「……あなた……おかしい……」


「不思議な話なんだが、それ、稀によく言われる。なんでだろうね。不思議だね」


「……」



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