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22話 悪とか、正義とか、そんなタルい話はどうでもいい。


 22話 悪とか、正義とか、そんなタルい話はどうでもいい。


「俺は、これから、史上最強の魔王『ゾメガ・オルゴレアム』と知り合いになる予定なんだけど、そんな俺に、その脅しは通じそうか?」


「魔族の王ごときが、メシアに勝てるワケないだろう! どの物語でも、最後には正義が勝つと決まっている! 貴様らのような悪は、生まれた時から、滅びるサダメにあるんだよ!」


「悪とか、正義とか、そんなタルい話はどうでもいいから、そろそろ、建設的な話をしようぜ。結局のところ、俺が聞いてんのは一つだけだ。今死ぬか、あとで死ぬか、選べ……以上」


「……」


 そこで、ラーバが、


「あ、あの……い、今、手元にはないですけど……のちほど、必ず、まとまった賠償金を……お支払いします……だから……どうか……」


「ラーバぁ! 黙ってろっつったろ! 害虫にシッポをふるなぁ! みっともない!」


 その叫びを受けて、ラーバは、一度、ビクっとしたが、

 そこで、覚悟を決めたように、キュっと、目に力をこめて、



「し、死にたくないんだ……リグを死なせたくもない……」



「……」


「僕は、最初から、反対だったんだ……こんな、化け物の巣窟に、わざわざ、自分から乗り込んで……」


「悪を滅ぼしてこそ、英雄になれる! ただの冒険者で終わらないためには、正義を執行するのが最短の――」


「悪とか正義とか、そんなのは机上の空論だよ。フロントラインでは『どっちが強いか』以外はどうでもいい……この戦場において、僕らは弱者だよ、リグ……弱者は弱者の振る舞い方を徹底するべきだ。そうじゃないと、生き残れない。死んだら終わりだ。正義も悪も語れない」


「……」


 そこで、ラーバは、あらためて、センに視線を向けて、


「今、ここで、僕たちを殺して、身ぐるみをはいでも……せいぜい、500万テス程度の利益にしかなりません……けど、生かして返してくれるのであれば……最低でも、1000万テス以上の賠償金をお支払いすると、お約束します」


「リグとかいう、このクソ脳筋よりは、まだまともな提案が出来ているようだな。そんなお前なら、『口約束に意味がない』ってことも理解できているよな?」


「契約のアリア・ギアスをおのぞみなら――」


「そんなもん、いくらでも解除できるだろうが。お前、俺をアホだと思ってんのか? 不快だぜ」


「……で、では、どうしたら……」


「金じゃねぇ。体で払え」


「そ、それは、どういう……」


「50年、俺の奴隷をしろ」


「……」


「約束するなら、50年は生きられる。50年後以降は自由に生きられる。約束しないなら、ここで死ぬ」


 そこで、リグが、


「ナメんな、クソモンスターがぁ!」


 と、怒りをあらわに、


「50年? 奴隷? なにもかもふざけてやがんな、くそったれ! 殺す! 絶対に、殺す! こんな屈辱は産まれてはじめて――」


「リグゥ!!」


 リグのプライドを、ラーバの怒声が止める。


「生きたいの! あなたと一緒に! 今後も! だから、折れて! お願いだから!」


「……」


 基本的には、リグが主導権を握っているチームなのだが、

 こういう、極限の土壇場においては、ラーバの方が発言権は強くなる。



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