21話 俺たちは何も悪くない。
21話 俺たちは何も悪くない。
『自分たちの造物主だとは知らなかった』という言い訳は通じない。
『知らなかったら何でも許されるか』というと、もちろん否。
法律の基本方針と同じ。
――知らん方が悪い。
というか、単純に、『問答無用で殺しにかかってきている』という時点で、弁明の余地などないのだ。
センが言った通り、撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけ。
『返り討ちにあう可能性』と心中できないのなら、殺気など放ってはいけない。
『相手がモンスターだから許される』と勘違いしているのなら、その勘違いこそが大罪。
罪には罰をあたえるのがセンの人生方針。
「う……うぐっ……うぐぅ……」
死にかけたリグを見て、
ラーバが、
「ご、ごめんなさい! それ以上は、リグが死んでしまう! お願いですから、もうやめて!」
許しをこおうとするラーバに、センは、
「やめなければいけない理由がない。お前のお願いを聞く義理がない。お前らの死は、俺的に大歓迎。ゆえに、手を止める必要性を感じない」
「……お……おねがい……」
「うるせぇ。助かりたいなら、すがりつくのではなく、メリットを示せよ。お前らが生きていて、俺になんの得がある? ちなみに、殺した場合、お前らの全部を奪い取れるから、ものすごくお得なんだけど?」
「あり金を……ぜんぶ……さしだします……アイテムとか、装備品も……ですから、お願いします。許してください……本当に、申し訳ありませんでした」
「お前、バカか? わざわざ譲渡してもらわなくても、殺せば俺のものだろう。ちゃんと頭を働かせてしゃべれ」
そこで、リグが、
「ラーバ、だまってろ……謝るな……俺たちは……何も悪い事はしてねぇ……」
「誰も悪いことをしているとは言ってねぇよ。お前の視点だと、『利益を求めて行動した』ってだけの話なんだろ? 理解はできるさ。けど、俺の視点だと、てめぇは、手前勝手な理由で俺を殺そうとした『敵』でしかない。――何度でも言ってやる。撃っていいのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ」
「……」
「で、どうする? メリットを提示できないなら死んでもらうけど? お前らを生かすことで、俺は、どんな得をする?」
リグは、反抗的な目をとめない。
怒りのままに、グっと奥歯をかみしめ、
「……っ……ひ……人を……ナメるなよ……バケモノ……」
これは矜持でも誇りでもない。
ただの意地。
「言っておくが、俺は……史上最強の勇者『ドーキガン・ザナルキア』の知り合いだ……俺に手を出せば、人類史上最高にして完全無敵の『救世主』が黙ってねぇぞ」
「あ、そう。ちなみに、俺は、これから、史上最強の魔王『ゾメガ・オルゴレアム』と知り合いになる予定なんだけど、そんな俺に、その脅しは通じそうか?」
「魔族の王ごときが、メシアに勝てるワケないだろう! どの物語でも、最後には正義が勝つと決まっている! 貴様らのような悪は、生まれた時から、滅びるサダメにあるんだよ!」