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19話 余裕すぎて血反吐が出る。


 19話 余裕すぎて血反吐が出る。


「どうしてもクソもあるか。男ってのは、『かわいい女の子の前で、どんだけ無様にカッコつけられるか』……それだけが『人生の全部』なんだよ。そんだけの話だ」


「……」


 ミシャを黙らせたセンに、

 それまで黙って状況を見ていたリグが、


「お、おい! そこの進化したての魔人! お、お前……ま、まさか……その邪神の力を……奪った……? ……のか?」


 何が何やらわかってはいないものの、

 知性ゼロというわけではないので、

 なんとなくの推測は出来た――といった様子のリグ。


 そんなリグに、センは、


「奪ったわけじゃねぇよ。俺という器の中に、こいつの業を注ぎ込んだだけ」


「わ、ワケの分からんことを……」


「難しい話じゃねぇよ。こいつの、ほとんど『呪い』みたいな邪悪オーラを、俺なら、うなく押し込めることが出来るから、一旦、俺が預かっている……それだけの話だ。この邪悪オーラを、こいつに任せていると、暴走して、世界中の人間が死ぬ可能性があるからな……だが、俺なら、余裕で、ぐぇへっ、ごぉへっ、ぶへぇぉ!」


 盛大に黒い血を吐血するセンを見て、

 リグは、呆れた顔で、


「何がなんだかよくわからんが、少なくとも、お前が余裕じゃないってことだけはよくわかった……」


 と、状況を的確に認識してから、


「とりあえず、お前と、そこの邪神を殺せば、万事OKで、俺は英雄になれるってことだな」


 そう言いながら、剣を構えるリグ。

 そんなリグに、


 ――センは、


「……万全を期すなら、俺とミシャを殺しておいた方が、確かに確実かもしれないな。ただ、それで解決するのは、ミシャの問題だけ。だから、俺はお前に殺されてやるわけにはいかない。俺には、まだまだやるべきことがある。こんなところで死んでいる余裕はない」


 そう言いながら、センは、ミシャから奪い取った『業』と、自分のオーラを合体させつつ、丹念に練り上げていく。


「この邪悪……俺の体を全力で蝕んでくる、めちゃくちゃ鬱陶しい地獄だが……『量』だけは、なかなかのもの……まだ、完全には扱いきれていないが……」


 そう言いながら、全身を、邪悪なオーラで包み込む。


「存在値100ちょっとぐらいの出力にはなる感じかな……全開で使えれば、たぶん、余裕で1000ぐらいにはなるんだろうが……今の俺だと、この辺が限界……練習したいな……5000年ぐらい……そのぐらい練習できれば、この厄介なオーラも、完璧に扱えるようになると思うんだよなぁ……」


 時間に対する感覚がバグっているセン。

 ちなみに、5000年と言ったのはただの対外的な見栄。

 才能のないセンが、このオーラを完璧に扱えるようになるためには、

 最低でも『100万年』は必要であり、

 そのことを、センは正確に理解しているのだが、

 しかし、ミシャが見ているので、全力で見栄を張ってしまったのである。


 ――器が大きいのか小さいのか、よく分からない男である。

 ――女の子の前では、常にカッコつけてしまうみじめな業。


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